黒姫山 黒姫を訪ねて天空の池沼へ    Mount Kurohime in Myōkō Togakushi renzan National Park

Thursday, August 7, 2014
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群馬県にも上毛三山というのがあるが、長野北部にも北信五岳というのがあるらしい。 黒姫山(2,053m)は北信五岳(東から斑尾山、妙高山、黒姫山、飯縄山、戸隠山)の一座である。 コニーデ型の美しい山容から信濃富士とも呼ばれている。
また、名山は伝説を生むと言われるが、日本中に “姫” にまつわる伝説は数々あるが黒姫山にも黒姫伝説がある。 以前、群馬の四万温泉周辺にある摩耶の滝に行ったことがあるが、そこの摩耶姫は滝で運命の若者と出会うというハッピーエンドなお話であった。が、ここの黒姫は大蛇にみそめられ、自らも大蛇と化し、あげく黒姫山頂の池に身を投げてしまうという悲劇だ。私はそんな黒姫に会いたくて信越本線の黒姫駅で下車した。

現在、黒姫山に登る東側からのトレイルは2本ある。黒姫高原スノーバーク(スキー場)から登る小泉山道と、黒姫駅からほぼ真西に伸びる東登山道(表登山道とも言う)だ。南登山道は廃道となっている。
私は、黒姫登山の代表的な表玄関とも言うべき東登山道から登り、黒姫が眠る山上のカルデラ湖 “峰ノ大池” を訪れた後、南東側の戸隠高原に下降した。下降路にも古池や種池などの池が見られる。




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アクセスはこちらを参照のこと → “燕温泉から登る妙高山と火打山(前編)”

黒姫駅は信越本線の関山駅の2つ手前だ。黒姫駅から登山口までは、徒歩の場合は黒姫駅の線路脇の道を北に行くと雲竜寺が現れる。その少し先を西に左折し農道を真っ直ぐ進むと写真の大きな案内板のある登山口に着く。道を探しながらなので40~50分はかかるだろう。駅からタクシーを利用することをお勧めする。

私は前夜に近くのペンションに泊まったので、朝早くに出発したいと言ったらペンションのオーナーが登山口まで車で送ってくれた。 040.gif この時季(夏休み)の黒姫高原リゾート地は大きなホテルは学校の運動部などの貸切で大変混んでいる。が、個人経営の小さなペンションはそれほどではない。登山をすることを話せばいろいろと融通を利かせてくれるだろう。それに下手な山小屋より安くて、食事もボリューム満点だ。 049.gif 003.gif




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トレイルは登山口から草地に植えられた並木道を真っ直ぐ森に向かって延びている。 “う~ん、爽やかな夏の朝だ” と思いきや、いきなりアブの大群に襲われた。 008.gif




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アブから逃げるように、どんどん森に入って行く。途中で林道に出るが、横切って標識にそってカラマツ林に入る。下刈りされた明るいカラマツ林の中には、バイオレット色の小さなユリのような花が咲いていた。コバギボウシかな?実に美しい色だ。 056.gif




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カラマツ林の先で、再び道幅の広い林道が現れるが横断して雑木林の中に進んでいこう。森の中には小さな生命がいっぱいある。ノイチゴ?ヘビイチゴ?いや、絶対食べられるイチゴでしょう! 011.gif でも、食べる勇気は無かった。 041.gif
毒キノコ?でも美味しそうじゃん! 011.gif これ食べられるキノコ(タマゴダケ)だよね? 039.gif




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3合目 “しなの木” までは緩やかな登りだ。 案内板の説明によれば「樹皮のじん皮せんいが強く布をおり船舶用ロープ、手綱、腰みのなどの一部に用いる。 この古木は数百年前から黒姫登山の道しるべとして茂っている」とある。さらに「登山者は大方ここで小休止していく」と書いてある。うけた!041.gif ならば小休止して行こう。。063.gif




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“しなの木” の先から “七曲り” というスイッチバックの急登が始める。 042.gif 四合目 “七曲り上” に差しかかると、勾配はもっときつくなる。 周りの樹木もいつの間にかブナ、シラカバの広葉樹林帯になっている。 072.gif とても美しい森だ。072.gif 秋はさぞかし紅葉が綺麗だろう。




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急勾配にあえぎながら登って行くと、右手に大きな岩が現れる。五合目 “日の出石” だ。 さすがに3日連続のハイキングで、いささか疲れてきた。 それに標高が低いこともあり、とにかく蒸し暑くてバテる。 042.gif 思うように足が上らない。ただただ以前から気になっていた黒姫伝説の “峰ノ大池” を見てみたいという思いだけで重い足を前に出していた。





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五合目を過ぎると、樹木の間に笹(ネマガリダケ=クマザサの仲間のチシマザサの別名)が増えてくる。このネマガリダケの竹の子は食用になる。 011.gif
そして七合目付近から林相が変わり、コメツガ、シラビソの黒木帯に入る。周囲が薄暗くなり、深山の感じが迫る中を行くと、八合目 “ひかりごけ” に着く。トレイルの石や根の下の岩穴の中にヒカリゴケが金色に輝いている。 072.gif




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そして九合目 “あおとど帯” に至る最後の急登。 周辺にはアオモリトドマツの大木が見られる。




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九合目を過ぎると傾斜も緩くなり、右手が明るくなったと思えば黒姫乗越からの分岐が合流する。 分岐を左に進み、背丈の低くなった針葉樹とナナカマドなどが生える尾根路を行けば黒姫山の山頂は近い。071.gif




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登山口から5時間強、ようやく黒姫山(2,053m)山頂に到着だ。 066.gif

さすがにここまで登ると頬に当たる風がひんやりして気持ちが良い。 043.gif




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この日は台風が近づいている影響で、雲がどんどん迫ってくる。 次々に変わる雲の動きは、まるで一大天空ショーを観ているようだ。 It's amazing! 005.gif 070.gif 072.gif




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眼前(南)には北信五岳のひとつ、飯縄山がそびえている。ちょうど雲の切れ間にピークが見えている。 北には一昨日登った妙高山が見える。




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眼下には下山路で向かう古沼と種池が見えている。 “あそこまで降りるのか~結構、遠そうだなぁ~” 039.gif




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と、下山にかかる前に、念願の黒姫が眠る “峰ノ大池” と外輪山と小黒姫山に囲まれた火口原に行こう。

山頂から南に少し降ったところに分岐があるので、右(西)に曲がって樹林帯の急坂を300mほど降る。

樹林帯はジメジメしていて、トレイル上の石に苔が生え非常に滑りやすいので足元に注意しよう。 034.gif




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30分程で峰ノ大池と火口原への分岐があり、まずは峰ノ大池へと左に進む。 すぐに淡くかすむ峰ノ大池が現れる。 さして風も無いのに湖面を渡るさざ波がまるで大蛇の鼓動のように揺れ続けていた。072.gif 009.gif




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淡い緑の樹木を倒影した湖面が息を飲むほど美しい。 黒姫が眠るにふさわしい池は静かで神秘的な気配を秘めている。 072.gif  ずっと来たかった場所に来れて何だかちょっとセンチメンタルな気分になり涙がこみ上げてくる。 もしかして黒姫が私に乗り移ったかな? 037.gif




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そして、分岐を右に5分も行けば、外輪山と小黒姫山に囲まれた火口原がある。 ここは低いクマザサが緑のカーペットのように広がっている。005.gif 072.gif




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笹原の中には “七ツ池” と呼ばれる大小の池が点在している。 西に見えている山が小黒姫山で、この山に登るトレイルは無い。 045.gif




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四方をぐるリと山に囲まれ、まるで天然の庭園のような場所だ。 この下界と隔離された天空の楽園にいつまでも留まっていたいという思いに駆られる。 043.gif 049.gif




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さて、楽園に別れを告げ、暗い樹林帯を登り返し稜線に戻ろう。 分岐に戻ったら見晴らしの良い尾根路を西に進み、1,998m峰を越え “新道分岐” に向かう。 070.gif




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この稜線歩きは景色も良く、実に楽しい。070.gif 露岩がゴロゴロする1,998m峰のピークを過ぎると、蝶がたくさん舞うお花畑をさらに西に行く。072.gif “しらたま平” という展望の良い場所を過ぎると、尾根は南西方向に急勾配の下り坂が始まる。




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稜線から離れ、ネマガリダケの群生するトレイルをぐんぐんと標高を下げていく。 稜線から1時間も下降すると、ここにもあった “しなの木”。 休憩適地なので一息入れていこう。 042.gif 063.gif




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“しなの木” を過ぎるとやや傾斜も緩くなり、しっとりとしたブナの巨木林の中を行くようになる。 シラカバの明るい美しいも良いが、やっぱりブナもいいね。049.gif ハイキングを始めて2年、ようやく森のもつ味わいが分かるようになった。 037.gif




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そして、稜線から1時間半、ようやく新道分岐に到着だ。 直進すれば大橋林道で真っ直ぐ戸隠高原に降りられる。右(写真では左)は大ダルミ経由で西登山口へ続くトレイル、左は古池、種池経由で戸隠高原に行くトレイルだ。 水辺の大好きな私としては古池、種池コースは外せない! いざ参らん池めぐり!070.gif 003.gif




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新道分岐から広葉樹林の中に広がる、ネマガリダケ栽培地を通過する。ネマガリダケは、しなりに強く、たわませても折れたりしないので、戸隠の民芸品の竹細工の材料になっている。
やがて水音が聞こえてくると、雪解けの冷たい水が気化して霧状になっている渓流が現れる。熱った身体を冷やそうと水に手をつけると、余りの冷たさに5秒とつけていられない。005.gif




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だんだんと明るくなる森を抜ければ、古池の北に出る。071.gif




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古池を半周するかたちで西に進むと、右手には広大な湿原が広がっている。




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古池は貯水池であるが、単なる貯水池では無く、周辺には水芭蕉の群生地もあり、湿原にはたくさんの植物が生殖している貴重な自然地域だ。 072.gif 056.gif




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古池の排水門に向かって行くと、池の中洲に2本の植物がニョキニョキ・・なんだかユニークだ。003.gif 排水門の先の針葉樹林帯を10分ほど南に行くと種池への分岐がある。




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種池分岐の脇に、ホラ貝を思わせる花が咲いていた。キツリフネという、名前もユニークな花だ。005.gif
そして、今回の山行で最後に訪れた池が種池だ。
湧出口と流出口の無い池で、古来この池の水を汲んで戸隠神社に雨乞いを祈願すると必ず雨が降ったという言い伝えがある池だ。

そういえばカリフォルニアにも Mano Lake モノ湖という流出口の無い湖があったなぁ。
アルカリ性の強い塩水湖で濃度が濃いから浮力も高いらしい。
Tufa トゥファという石灰華の塊は一見の価値ありだよ。→ “ルート395沿いの驚異のモノ湖の石灰華 ― Mono‘s Tufa & along the Hwy.395 ―”

種池からは10分弱で種池登山口の車道にでる。マイカー利用ならここに数台止められる。私は戸隠キャンプ場のバス停まで車道を右(南西)に、さらに20分ほど歩いた。 長野駅行きのバスは1時間に1本程度ある。





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このトレイルは全体的に見どころが点在していて飽きがこない。
シラカバの広葉樹林帯、ヒカリゴケ、伝説の池と火口原、稜線の景色にお花畑、ブナの巨木林に古池、種池の池巡り。低山の蒸し暑さを差し引いてもトレイルの良さの方が勝る。 049.gif

私のこのトレイルへの評価:5★中級者向け 秋の紅葉シーズンなら5★+になるだろう。
全行程距離:約14km, 高低差:約920m、行動時間:10時間(休憩込み)

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by dream8sue | 2014-08-07 15:38 | 妙高戸隠連山国立公園 | Trackback | Comments(2)
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Commented by nao at 2014-08-23 13:47 x
私も姫に会いたかったな。花の名前、よく調べたね~。あの赤いきのこはたぶん「タマゴダケ」。美味なきのこです。妙高でみた上がピンクのきのこを調べたら「ドクベニダケ」に似ている。毒と書いてある図鑑と、食べられるがおいしくない(臭い)と書いてある図鑑がありました。食べてみないとわかんないんだよね。
Commented by dream8sue at 2014-08-27 09:25
naoさん、コメントありがとう!
やはりあの美味しそうなキノコは食用でしたか!
これからの季節(秋)はハイキングトレイルでもたくさんキノコを見かけますね。
花の名前を覚えるだけでも一苦労ですから、キノコの品種まで覚えられません。
残念ですが私はお店で買って食べます。でも天然キノコの方が美味しいだろうな~

黒姫には、そこに行ったからといって、すべてのハイカーが会える訳ではありません。
“な~んだ、ただの池じゃん” としか感じられないハイカーは姫には会えません。
私は池のほとりで泣きたくなりました。きっと姫が私に乗り移ったのでしょう。笑
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