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上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma

Sunday, May 17, 2015
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群馬県上野村といえば、1985年の日航機墜落事故で知られる村である。

また、 “平成の大合併” に対して、合併をしないと宣言した村でもあり、群馬県内で最も人口の少ない自治体である。村の人口は約2000人で村の面積に対して人口密度が県内の市町村の中で最も低い。 005.gif

言い換えれば、自然がいっぱいの村である。そして、その村の宝でもある自然を利用した企画が、この上野村公募ハイキング “シオジ原生林” と3日後に行く “マムシ岳” である。

恥ずかしながら私は、シオジ原生林って、シオジという地にある原生林、つまり地名だと思っていた。ところが、シオジは樹木の品種だということを今回知った。 012.gif

シオジ原生林は、国指定天然記念物になっている貴重な原生林であり、学術参考保護林であり、群馬県の自然環境保全地区でもある。と、なんとも国定公園並みの貴重価値だね。 003.gif

まさか、自分が公募ハイキングに参加するとは微塵も思わなかったが、こんなチャンスでも無い限りなかなか訪れることがない場所だろう。 045.gif




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前橋、高崎からのアクセス:2004年に南牧村と上野村間に “湯の沢トンネル” が開通しているので、国道254号線(または上信越自動車道、下仁田IC下車)から南牧村に入るのが良いだろう。

南牧村を走る県道45号線が県道93号線に変わる所(桧沢大橋)で直角に左折して川を横ぎり湯の沢トンネルを越えて上野村に入る。

国道299号線に合流し、左折して東に走る。上野村ふれあい館の少し手前にある楢原郵便局を右折し、県道124号へ。浜平温泉しおじの湯に駐車。 高速道路利用で1時間強で行くだろう。

公共機関を利用の場合は、JR新町駅から上野村ふれあい館行きバスで終点下車。しおじの湯まで徒歩50分。また、下仁田・富岡方面からは乗合タクシーが運行されている。 




上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_2226926.jpgしおじの湯から神流川に架かる橋を渡って、車道を西に行く。

神流川の清流にはフィッシャーマンが釣り糸を垂れていた。何だか夏到来といった風景だ。 058.gif

車道を西に少し歩いた右手の人家の奥に進む。この右から合流している沢が北沢だ。

入渓ポイント周辺には、オドリコソウが群生していた。 056.gif

背高に成長したオドリコソウも、何だかもう夏の日差しの中にあるように感じる。 058.gif




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北沢渓谷は上流で萩沢、栃平沢、細尾沢と支流を分ける。シオジ原生林の観察路は細尾沢沿いにある。

北沢渓谷に入り、丸太橋で右岸(川下に向かって右)に渡り、しばらくは立派な鉄パイプの路や階段を歩く。  070.gif
 



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北沢渓谷沿いには、シオジ林以外にもたくさんの巨木を見ることができる。

この木は、気になる木、じゃなくて! “キハダ” という木らしい。私の肌はサメハダ! 041.gif




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上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_2228849.jpg大きな葉をつけたこの木は、私も知っている “トチノキ” だね。 045.gif

フランス語名 “マロニエ” というのは知らなかった。 046.gif

ちょうど花の時期で、高く立ち上がった大きな花が目立つ。 056.gif




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ヤマグワ、イタヤカエデ、エゾエノキ、ウリハダカエデなどが続く。 027.gif

中には木の樹皮がまさにサロメチールの匂いそのものの “ミズメ” という木もある。 005.gif

そして、この新緑が美しい大木は “ハルニレ” という木だ。名前は聞(木)いたことがある気(木)がするが気(木)のせいかな?って、もう木はたくさんだ。 041.gif

他にも多くの樹木を見るが、正直なところ、1度見たくらいでは覚えられない。樹木の同定は花どころではなく難しい。 002.gif





上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22292976.jpg上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22294079.jpg
では、木ではなく、もちろん草花もあるよ。

春の山地では定番のヒトリシズカに良く似た、フタリシズカ(写真左)。通常は白い花だけど、白くなる前はグリーンの花なんだね。 056.gif

クワガタソウ(写真右)も、トレイルのあちこちで目にする。 056.gif




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渓谷には “山女魚止めの滝” という清流が美しい滝や、昔、多くの炭焼き小屋があったという “土平(どうだいら)” “かんば平” などを右手に見る。

スタートから2時間ほどで、岩尾根への急登になる。登りきったところには大きな “ツガ” の木が立っている。ツガれた(疲れた)ので休憩しよう。 041.gif

渓谷から気持ちの良い風が吹きぬける。休憩するには最適の場所だ。 063.gif




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岩尾根から、反対方向に下降し、 “北沢分校跡” を後にする。

ハイカーの大好きな一列歩行は、まるで原生林探検隊みたい。 041.gif 070.gif




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北沢分校跡といっても、今はただの林の中の平地であるが、このような深山に学校(寺子屋的なもの)があったとは、にわかには信じがたい。




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トレイルは北沢の支流に入っていく。流れもだいぶ細くなってきた。 072.gif




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沢筋から左岸についた、そりで炭などを運んだという “そり道” を行く。 070.gif




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そり道から左の沢へ降り、いよいよ “シオジ原生林観察路” へと進む。 071.gif




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さっそく、何やら発見か! 013.gif




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シオジの赤ちゃんTreeだ! 043.gif




上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22333223.jpg上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22341256.jpg
この黄色いヤマブキに似た花(写真左)は、名前もまんまのヤマブキソウ(別名:クサヤマブキ) 003.gif 056.gif

一見、ヤマブキの花によく似ているが、実際はヤマブキの花びらは5枚であるが、ヤマブキソウのほうは4枚という違いがある。

薄暗い原生林のなかで、ひと際鮮やかなヤマブキ色でとても目立つ存在だ。 056.gif

おや、花は同じだけど、葉の形がまったく違うこの花(写真右)は? よもやヤマブキソウの新種発見か! 005.gif  027.gif

いえいえ、セリバヤマブキソウというヤマブキソウの一品種としてすでに認定済みです。ヤマブキソウは葉形の変化が多く、ホソバヤマブキソウなどもあるらしい。 034.gif




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トレイルは、北沢渓谷支流の細尾沢に沿って行く。美しく緩やかな流れが続く。 072.gif




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ありました!この木が、気になる木、じゃなくて! “シオジ” です。綺麗な樹皮だね。 072.gif

この一帯のシオジの木は、宝暦年間(1751~1763年)以来伐採されたことがないとか。 005.gif




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大きなものは樹高35mに達しているものもあるとのこと。針葉樹では背の高い木は珍しくないが、広葉樹でここまで高い木は珍しいかも。




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シオジの木や原生林の説明をしばし受けた後で、ゆるやかに広がった尾根の一角でランチタイムとなる。 060.gif

公募ハイキングなるものに初めて参加したが、なんとランチ付き。上野村にある民宿で作られたボリュームたっぷりの美味しいお弁当だった。 063.gif 011.gif




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上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22391862.jpg食後は、原生林の中を流れる清流や、周辺を軽く散策。

このブルーの花は、ラショウモンカズラというクールな名前の花だ。 056.gif

が、和名の由来は、大きくふっくらとした花の感じを、昔、羅生門で武将が切り落とした鬼女の腕に見立てたものだとか・・Oh!Boy! なんだか恐ろしい名だね。 008.gif




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さて、ランチの後は、下山路のある峠まで、細尾沢沿いの急な登りにとりかかる。

急斜面に加え、トレイルコンディションが良くない。今日一番の頑張りどころである。 042.gif




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苦しい登りに下ばかり見て歩いていると、トレイルの側らに “長岩滝” の小さな標識があり、左の渓谷に目をやれば、2段の長い滝が見える。水量は少ないが、細尾沢の急峻な谷に食い込むような見事な滝だ。 072.gif




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やがて、勾配が緩くなり、沢をトラバースすれば、南西に向かっていたトレイルは南東に向きを変える。




上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_22421391.jpgランチ休憩の場所から、1時間強の登りで林業管理局の立派な看板が立つ峠(マムシのコル)に到達する。 042.gif 066.gif

ここからは、北沢渓谷の南を流れる中之沢に沿って走る県道124号線まで、ひたすら下り坂だ。




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下山のこのトレイルは、シオジ原生林からの登りとは一転し、クサリのフェンスが設置された遊歩道のような路幅の広いトレイルとなる。

始めは石がゴロゴロした急坂であるが、やがて沢筋に入って行くと傾斜も落ちて歩き易くなる。




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水際にハシリドコロが咲く路は、途中で沢を渡り右岸に移る。 071.gif




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最後は、中之沢の上流、日向沢の橋を渡れば県道にでる。峠から約1時間ほどで到着だ。 066.gif  ここは、マムシ岳の登山口でもあり、ゲンナイ登山口というらしい。

北沢渓谷も良かったが、中之沢源流域も良さそうだ。こちらにも自然散策路があるが、なんと入場制限がある。そう聞くと、ますます入って見たくなるのが女心だね。って私だけ? 037.gif




上野村 北沢渓谷にシオジ原生林を求めて     Shiozi forest in Ueno,Gunma_f0308721_2244781.jpg今回のトレイルは、自己陶酔型の高所大好きピークハンターのハイカーには物足りないだろう。 039.gif

しかし、森林浴もでき、貴重な原生林での自然観察もできるこのトレイルは、真の自然愛好家には嬉しいトレイルだ。 049.gif

原生林への門はいつでも開いているが、入山するハイカー側の嗜好と直結しているルートなので自分の目的を見誤ると、退屈なトレイルになってしまうかもしれない。 019.gif

ただガツガツ登るのではなく、原生林の太古の息吹と対話する心持で歩きたい、そんな想いのするトレイルだ。  045.gif

今回は、上野村企画ということで、下山口からはカーシャトルしてもらい、秘湯の浜平温泉しおじの湯へ直行。point to point の縦走形態で歩くことができた。

ちなみに、今回の上野村公募ハイキングだが、参加費用5,000円で、高崎駅からの送迎付き、ガイド料、保険料、昼食、ハイキング後の入浴代まで込みである。超お徳です! 049.gif

上野村、頑張ってます。応援したくなりました! 035.gif 003.gif

私のこのトレイルへの評価: 4★ 中級者向け
行程距離: 約7km(しおじの湯‐北沢入渓ポイント‐シオジ原生林‐峠(マムシのコル)‐日向沢ゲンナイ登山口)
標高差: 約700m
実動時間: 約6時間 (40分のランチタイム、休憩込み)

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by dream8sue | 2015-05-17 10:00 | 群馬県 西上州エリア | Comments(2)
Commented by y at 2015-06-18 20:47 x
こんな山奥にも学校を置くほど人が住んでたときがあったんですね

入山者制限のコースってのは興味を引かれますね〜
この県境付近の無人地帯の大自然 大事にしたいですね
Commented by dream8sue at 2015-06-19 15:33
yさん、
いつもコメントをいただき、ありがとうございます。
北沢渓谷には、昔は炭焼きで生計を立てていた集落があり、下流にある学校まで通えないそこの子供達が通っていた分校があったようです。

入山制限=車両通行止めのエリアで、フィッシャーマン達はちらほらと入山しているようですが、一般ハイカーの車は入山できません。
上野村は村の90%が森林です。上野村を応援してください。m(_ _)m
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