尾瀬 秋の尾瀬沼から鬼怒沼へテント泊縦走(前編) Ozenuma to Kinunuma in Oze National Park

Friday, September 4, 2015
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自称、尾瀬フリークの私だが、今年はミズバショウの時期に1度行ったきりだ。尾瀬ヶ原尾瀬沼アヤメ平燧裏林道三条の滝渋沢の滝至仏山笠ヶ岳燧ヶ岳と一通り歩いた。が、昨年より気になっているルートが2つある。

1つは、富士見下から白尾山、皿伏山を経由して尾瀬沼に抜けるルート。そしてもう1つが、今回歩いた尾瀬沼と鬼怒沼を結ぶルートだ。

大清水を基点に大きくループを描くこのルート(約30km)は、尾瀬沼から小淵沢田代を過ぎると、鬼怒沼湿原に至るまでは、ほとんどハイカーもいないマイナーなルートである。しかし、その分人混みでざわめく尾瀬にありながら、静かな山歩きが約束される。

小淵沢田代と鬼怒沼湿原までの間15kmにはエスケープルートも無く、ビバークを強いられるロングルートである。トレイルには倒木も多く、黒岩山ピークへは藪漕ぎもあるので、初心者同士の入山はお勧めできない。  039.gif 046.gif




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何度も通った大清水なので、アクセスに関しては過去の記事を参考にしてほしい。

今年から、大清水と一ノ瀬間の低公害車(クリーンディーゼル車)タクシーが運営されている。

大人:700円、運行時間は季節や曜日によって異なるので、事前に確認しておこう。 034.gif

ウィークデイは始発が7:30とやや遅めであるが、私たちは久しぶりのテント泊の重荷なので、迷わずタクシーに乗る。 065.gif




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天候不順な日本の夏、毎日毎日ウェザーチェックして、好天の兆しを見逃すことなく今回の縦走計画を決行した。

しかし、そんな努力をあざ笑うかのように、タクシーが一ノ瀬の休憩所に着くなり雨が降り出した。しぶしぶレインコートを着こみ歩き出すと、雨はすでにやんでいた。なんなんだ~! 044.gif

出鼻をくじかれたような気分であるが、一ノ瀬橋を渡り左の登山道に入るとすぐに秋の代名詞とも言えるハギの花が出迎えてくれた。私の気分もすぐに良くなった。やはり、女心と秋の空は同じようにころころと変わるね。 041.gif




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一ノ瀬から三平峠までは急な登りがしばらく続く。岩清水の水場を過ぎてさらに進むと、木道や階段が出てくる。

トレイルにはオオカメノキが赤い実をつけ、アキノキリンソウやアザミなどの花が雨の雫で艶やかに化粧をしてたたずんでいる。 036.gif

このトレイルは紅葉が実に素晴らしい場所だ。昨年の秋に、このルートを歩いた際の燃えるような紅葉が今もまぶたに焼き付いている。 072.gif




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樹林帯に囲まれ展望のない三平峠では休まずに、湖畔にある尾瀬沼ビジターセンターまで歩くことにする。 070.gif

尾瀬沼山荘のある三平下に降ると、左に沼尻へのトレイルを分け、ビジターセンターへは右の木道を行く。

尾瀬沼に流れ込む沢筋にはトリカブトの群落が、今が盛りとばかりに見事な花を咲かせていた。 056.gif

一ノ瀬からビジターセンターまでは、約2時間の行程であるが、タクシーを使って体力温存したせいなのか、トレイルに咲く花々に癒されながらの歩きのせいなのか、重荷の割にはまだ疲れを感じない。 060.gif





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ビジターセンターで、休憩を兼ねて展示会場を見学したり、これから向かう鬼怒沼までのルートの情報を得る。

ビジターセンターの職員にも、このルートを歩く場合は熊避けの鈴などを身につけて歩くようにと念をおされた。やはり、熊しか歩かない超マイナーなルートのようだ。 041.gif

まずは、センター裏手にある尾瀬沼ヒュッテの脇から小渕沢田代を目指す。尾瀬沼ヒュッテの裏には板で整地された快適そうなキャンプサイトがある。 049.gif




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キャンプサイトの中を通って、小渕沢田代への山路に入る。クマザサと樹林帯の中の急登は、長雨でぬかるんでいる。 002.gif




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ゴゼンタチバナの赤い実が、薄暗い樹林帯の中でひと際目立っていた。 056.gif




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ビジターセンターから約1時間の登高で大江湿原からのトレイルを合わせ、右に少し行けばそこはひっそりとした小渕沢田代である。




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小渕沢田代には、昨年に引き続き今年もこの時期に来てしまった。昨年同様にキンコウカの花はすっかり花期を終えていた。が、イワショウブ(写真左)がまだ白い花を咲かせていた。オゼミズギク(写真右)も健在。




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今年はウメバチソウの開花時期にジャスト・タイミングだったようで、たくさんの純白の花を見ることができた。 056.gif 056.gif




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唯一、木道が近くまで敷かれている池塘がある。




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池塘の側には、世界で1科1種の植物、ホロムイソウが実をつけていた。




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ミヤマアキノキリンソウは尾瀬の湿原における秋の代表選手だ。 056.gif




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尾瀬ヶ原や尾瀬沼のしっかりした木道とは違い、板を敷いただけのシンプルな木道には水が流れていて、いつも洪水状態だ。 041.gif

200mくらいの湿原歩きだが、写真を撮ったりしながら30分かけて歩く。 041.gif 草紅葉にはまだ少し早いね。 039.gif




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さて、今日のお楽しみ、小渕沢田代の湿原歩きを終えたら、いよいよ鬼怒沼へ向かう縦走路に進もう。

湿原の東端からぬかるんだ路が樹林帯へと続く。足元にはコケの絨毯から何かのベイビーツリーが顔を出している。 043.gif




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樹林帯の途中で、大清水へ下る小渕沢(ニゴリ沢)ルートを右に見送る。

私は昨年の秋に、こちらのルートも歩いているが、ハイカーの少ない静かなルートである。




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背丈ほどあるクマザサの路を行くと、送電線の記念碑がある草原にでる。ここで一休みしながら方角を確認しよう。 063.gif

送電線に沿って進みそうになるが、記念碑の東に続くトレイルが鬼怒沼方面への路なので、くれぐれも方角を間違えないようにしよう。 034.gif




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袴腰山(高石山)を右に見ながら、山腹を東に進む。群馬県と福島県の県境をトレースするように稜線を黒岩山を目指して歩く。 071.gif

しばらくは展望の無い樹林帯を行くが、シラビソなどの針葉樹林とダケカンバなどの広葉樹林が混ざる森は、実に美しく、ここが観光客で賑わう尾瀬国立公園とは思えない静寂と原始の世界が広がっている。




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古木に息づくキノコの生命力に圧倒される。 005.gif




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足元の、小さな生命の美しさにため息が出る。 043.gif




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コケとシダ類の風景に飽きてきた頃、ツルリンドウ(写真左)の可憐さにおもわず足を止め、赤い実はアカモノ(写真右)の実かな?と立ち止まる。

先を急ぎつつも生命の息吹に耳を傾け、目を凝らす。 高山植物など蹴散らして、ガツガツと高みだけを目指し、より高く、より難しい壁を求めて登っていた自分はもう遥か遠く忘却の彼方にあることに気づく。 歳をとるということはこういうことなのかな~ 003.gif




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朝の低公害タクシーに乗ったのが7時半、赤安山の手前の赤安清水(清水という名であるが近くに水場は見あたら無い)についたのがすでに14時。鬼怒沼まで5時間もかかる。黒岩山ピークへの寄り道も考えているので、今日中にはとても鬼怒沼の避難小屋までは行けそうも無い。もちろん、はなから行く気も無いのだが・・ 041.gif




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そんな駆け足山行をしては、足元の宝石たちを見落としてしまう。ほら、こんな可愛い赤いキノコたちが顔を出している。名前は分からないけど、赤いツクシん坊みたいなキノコ(写真左)と、こんな形のチョコレートがあるよね~(写真右) 041.gif




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赤安山を過ぎると、辺りはシラビソの森になり、カニコウモリの群落が非常に多くなる。




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シラビソの森に陽が差すと、幹が白く輝いてとても綺麗だ。 072.gif 072.gif




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シラビソの森はキノコの森だ。夏の華やかな高山植物の時期も終わり、紅葉には少し早い時期なので、ちょっと物足りない気分だったが、花と同じくらいにキノコ観賞が楽しい。 060.gif

そういえば、アヤメ平から見晴に下った時も、八木沢新道にはたくさんのキノコがあってメンバー全員が意味も無く盛り上がったな~  058.gif




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黒岩山へ向かう途中には、こんな大きな倒木もあり、むき出しになった根にコケや樹木が生えている。辺りもうっそうとして、自分がモノノケの世界に紛れ込んだような錯覚をおこす。 005.gif




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午後3時、ザックの重荷が肩に食い込んでくる頃、ようやく黒岩山分岐に着く。 042.gif

分岐にザックを置いて空身で黒岩山ピークに向かう。往復40分~60分くらいだ。
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200mほど東にトラバースしてから北に曲がり急登となる。ピークに近づくにつれ、トレイルは深い藪に覆われてくる。それまで便利だったハイキングストックが藪にひっかかり邪魔になる。藪漕ぎように手袋は必携だ。 034.gif




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黒岩山(2,163m)は群馬県、福島県、栃木県の3県の県境であり、360度の展望が望めるピークなので、余裕があれば登っておこう。山頂には三角点があり、日光方面の山がよく見える。 072.gif

黒岩山は、今回のルートの中で唯一のピークらしいピークである。展望を十分堪能したら、また藪漕ぎして分岐まで戻る。 008.gif




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黒岩山分岐から南西に10分ほど降ると、小さな沢が氾濫している森の中のスポット的な場所にでる。どうやらここが“黒岩清水”の水場のようだ。大テントが1張りできるほどの平地があるが、連日の秋雨でびちゃびちゃで、とてもテントを張る気にはならない。 057.gif 008.gif

また、黒岩清水は、水場といっても木をかき分けて腕を伸ばして小さな流れの水を溜める感じなのでディマンディング(demanding)である。 021.gif




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この先に、小松原湿原の水場もあるようなので先の様子もみてみたが、夕刻も迫りはっきりしなかったので、結局、この黒岩清水周辺の樹林帯に分け入ってテント設営の場所を見つけた。水場のすぐ近くに小さなテントが2張り張れるスペースがある。

日没間際に何とかテント設営と夕食の支度ができた。同行者に差し出されたワインが疲れた身体に心地よくしみていった。 043.gif

明日は、待望の鬼怒沼湿原と、恐怖の大清水までの激降りが待っている。001.gif 025.gif

黒岩清水から鬼怒沼を経由して大清水へ降るトレイルに関しては、“秋の尾瀬沼から鬼怒沼へテント泊縦走(後編) Ozenuma to Kinunuma in Oze National Park” を読んでね。




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私のこのトレイルへの評価: 4★ 中~上級者向け

行程距離: 約18km(大清水‐一ノ瀬‐尾瀬沼ビジターセンター‐小渕沢田代‐赤岩清水‐黒岩山‐黒岩清水)

標高差: 約980m

実動時間: 約9時間 (休憩込み)


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by dream8sue | 2015-09-04 14:44 | 尾瀬 国立公園 | Trackback | Comments(0)
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