Wednesday, December 16, 2015
日本三大奇景で有名な妙義山は、石門などに代表されるようなアーチや穴空き岩も多い。そこでかねてから気になっていた星穴めぐりに行ってきた。星穴めぐりといっても、石門めぐりのようなハイキング気分で行ける場所ではない。 星穴岳(1,073m)までは昔は登山道があったようだが、それも45年ほど前におきた悲惨な遭難をきっかけに廃道となり、現在は登山禁止となっている。加えて、星穴(射抜き穴&むすび穴)は、稜線からラッペル(懸垂下降)で2ピッチほど下降しなくては行けない場所にある。まさに気分はインディアナ・ジョーンズ、探検山行だ。 注意:このルートは一般ルートではありません。 必ず経験者(読図や登攀のできるレベル)やガイドと同行してください。 また入山に際しては自己責任であることを肝に銘じ、万が一の事態にも自分たちで対処してください。 <マイカーの場合> 登山口となる中之獄神社までは9月に登った石門めぐりと同じなので、そちらを参照してほしい。→ “下仁田町 妙義山 石門めぐり Mount Myōgi in Shimonita,Gunma” 登山口から30分ほどの登行で見晴台に着く。 一休みしながら登攀具などを身に着ける。 見晴台からは石門群へ続くトレイルを右に分けて、さらに北に進む。 すると、“ここより上級者コース” と書かれた立て看板があり、りっぱな注意書きの標識もある。 “ザイル等装備のない方、登攀技術のない方は立ち入らないでください。” と書かれてある。 ここまで警告してあれば、さすがに一般ハイカーは入山しないだろう。 このロープをまたぎ、西に進む。 さあ、探検の始まりだ! 岩峰の基部をトラバースしながら高度を上げていく。 振り返れば、金銅山の岩峰群が東側に広がる。 ちなみに、金銅山には東岳、中ノ岳、西岳があり、これから向かう西岳は金銅山の一角といえる。 コルから20分ほどで最初の岩場に着く。Ⅲ級程度の短い岩場にはペツルのボルトが打たれている。 近年、星穴めぐりは、山岳ガイドのツアーが盛んで、ガイドがルートを整備しているようだ。ありがたく使わせていただこう。 今回、我々は6人で3本のロープを用意した。3本のロープをフル稼働させて、ルート工作隊が先行し要所でフィックスしたり、ラッペルポイントでロープをセットしたりして、星穴岳まで休むことなく前進した。 西岳直下の岩場に、メンバーがルート工作している。この岩場にもしっかりしたペツルのボルトが打たれている。 易しい岩場であるが、落ちれば致命的なので、ロープをフィックスして、各自はアッセンダーやロープマンなどでセルフビレーしながら登った。 本当にこんな岩峰群の中にルートがあるのか!って、いうか、昔は確かに登山道があったのだよねぇ~ 正直、この景色が見られただけでもここまで来た甲斐があった。もう満足。 西岳ピークからは北側の泥ルンゼを降る。残置ロープなどはあるが、濡れた泥ルンゼは足場が非常に悪いのでラッペルで降る。 泥ルンゼを降り切った所から星穴岳へ続くトレイルがやや分かりずらい。 ラッペルでルンゼを降り過ぎてしまうと東側の尾根へのトラバース路を見落としてしまうので要注意。 そして、このトラバース路も濡れていて悪い。 北面ということもあり、気温が下がると凍っていたりして悪場感が増すだろう。今年は11月、12月が暖かでラッキーだった。 星穴岳へは、10mほどの傾斜のあるⅢ級の岩登りとなる。両サイドが切れ落ちた高度感のあるリッジなのでロープにセルフを取りながら安全第一で登る。 無駄のないルート工作のお陰で、登山口から3時間で星穴岳まで来ることができた。 昨年の今頃、西上州のじじばばの岩峰を見に行った。その時に、ばば岩を西上州のモンキー・フェースと比喩した。でも、ばば岩以上にこのP3は形といい、大きさといい、まさに西上州のモンキー・フェースだ。 星穴岳からの下降はラッペルが無難だ。 25m懸垂という情報で、50mロープ1本を使用するパーティーもいるようだが、このような安全対策のためにも、また不測の事態に対処するためにも、ここのラッペルは50mのダブルロープで行ったほうが良いだろう。 岩稜帯から離れた、こういった針峰は地形図には表記されないので、実際に目のあたりにして初めて地形や岩峰の位置関係が把握できる。 この右のトラロープは岩壁の途中で切れている。下降点では下部まで見えないので、このロープはどこかでフィックスされているのかと勘違いしてセルフビレーなどに使ってしまう可能性があり大変危険と思われる。このようなトラロープならぬ、トラップロープであると知っていたら、下降点で回収なり切断処理しておくべきだった。これを読んだガイドやクライマーの方、このロープは危険です。回収、または切断してください。 むすび穴からは、威容を誇る表妙義の岩稜が映っている。 岩穴が額縁となってバックの景色を引き立てていた。 なかなか目にすることができない景色を前に、立ち去りがたい思いを断ち切って下山にかかる。 下山ルートは、いったん45mラッペルの着地点まで戻り、南側のガレたルンゼを降る。 ルンゼはフィックスロープがベタ張りになっているが、浮石も多いので落石をしないように慎重に降ろう。 結び穴から30分ほどの下降で尾根筋にある炭焼き窯の跡と思われる場所にでる。良い目印ではあるが、樹木の根元に隠れるように存在しているので見落としやすいかもしれない。 轟岩は標高こそ低いが、その展望は素晴らしい。ここは、有名な石門群の陰になってしまい訪れる人も比較的少ないが、中之獄神社から近いので一般ハイカーでもアプローチし易いと思う。ただし、岩場なので足回りは適した靴で登ること。もちろん高い所が苦手な人はNGだね。 轟岩から中之獄神社までは0.2kmの距離なので下山は10分とかからない。 星穴めぐりは、探検気分を味わえる楽しいルートだった。 今回のルートは、クライミングに慣れたリーダーとならハイグレード・ハイキング(バリエーション・ハイキング)とも言えなくはないが、クライミングに近い内容なので、私のブログではClimbingカテゴリーに分類した。 登りより危険が伴う降り中心のルートであり、体力や健脚自慢だけでは太刀打ちできない難しさがある。岩登りやラッペルといったクライミング要素は確かに濃い。しかし、そのようなテクニカルなこと以上に(実際、岩登りはⅢ級程度と易しい)、岩場における注意力やルートファインディングスキルが重要だ。そのような言わば実践テクニックの低いハイカーは安易に入山すべき場所ではない。 それでも訪れてみたいハイカーはお金を払ってガイド登山すべきだ。しかし、何度も言うようだが、最後は自己責任であることを忘れずに。ガイドや行政は、サポートはしてくれるが自分の命まで守ってはくれない。“自分の命を守るのは自分”ということを肝に銘じて行動しよう。これは私自身にも言い聞かせていることで、けっして上から目線で言っている訳ではないので誤解のないように。(^_-)-☆ 私のこのルートへの評価: 5★ 上級者向け(岩登り、懸垂下降あり) 行程距離: 約4km(中之獄神社‐見晴台‐中之岳とのコル‐西岳‐星穴岳‐射抜き穴‐結びあな‐轟岩‐中之獄神社) 標高差: 約350m 実動時間: 約6時間 (休憩込み) 下のバーナーをクリックしていただけたら嬉しいです。 ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ ↓ Thanks for reading my article. Please click the banner below, so that your access can be counted. にほんブログ村
by dream8sue
| 2015-12-16 01:15
| RC 群馬県の岩場
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Comments(2)
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by
y
at 2015-12-20 20:04
x
妙義山のこの時期、落ち葉は多いようですが、展望は良さそうですね〜
星穴岳からの下降路、意外にはっきりしてるようで、轟岩の近くに出るのですね 轟岩、ちょっとコースからはずれにあるので訪れる人は少ないようですが、なかなかスリルがあるし私もオススメです
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Commented
by
dream8sue at 2015-12-22 00:11
yさん、轟岩は奥の院の上にそびえている岩峰ですが、皆さん石門に目が向いてしまって、あまり行かれていないようですね。
実は私も知りませんでした。最初はパーキングの売店のおばちゃんに勧められて行きました。(笑) 神社からひと登りで素晴らしい展望が得られる穴場ですね。
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