片品村 武尊牧場の湿原巡りで熊の気配とヒメカイウ     Hotaka Marshland in Katashina, Gunma

Friday, June 10, 2016
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日本に帰国して早2年になる。カリフォルニアのトレイルは、トレイル自体が面白いものが多く、必ずしも山頂を極めなくても十分楽しい。だが、日本のトレイルはほとんど山のピークへ登るためのトレイルである。最近は、ハイキングというより登山といった山行が多く、ピークハンターでは無い私としてはちょっと飽き飽きしてきた。 I am getting sick of mountain climbing! 021.gif 015.gif
山登りでは無いとなると、滝巡りか湿原巡りしかないかな~・・ということで、かねてより一度見てみたいと思っていた “ヒメカイウ” を見に上州武尊山の麓にある湿原(花咲湿原、武尊田代)に行くことにした。 056.gif




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<マイカーの場合(前橋方面から)>
関越自動車道の沼田ICで下車し、国道120号線を日光方面へ向かう。 吹割の滝を過ぎて “平川” の信号を左折し県道64号線に入る。約4km走り花咲温泉の民宿通りを過ぎ三叉路を右に進む。 この三叉路までは、川場温泉から背嶺峠(トンネル)を越えるルートもあるが、120号線からの方がわかり易い。 三叉路からは北に6.5kmほど直進すれば武尊牧場のスキー場に着く。途中、西俣沢と東俣沢の合流点に架かる橋を渡るところで、東俣パーキングへ行くゲートがあるが、現在は土砂崩れのため通行禁止で閉鎖されている。

この時季の武尊牧場はレンゲツツジが満開で、夏山リフトが運行している。マイカーはこの夏山リフト乗り場までスキー場の中を走ることができる。
夏山リフトの運行日が決まっているので、事前にカレンダーを調べて行くと良いだろう。→  “片品 ほたか牧場 夏山リフト キャンプ場” 

スキー場から見上げる上州武尊山(写真上)。 こちら側から見る上州武尊山(川場尾根)は、昨年の夏に登った辛い山行を思い出させる。放射線治療を終えたばかりの私は、副作用でヨレヨレになってしまったのだ。 007.gif
→ “片品村 上州武尊山 オグナほたか口から登る夏の剣ヶ峰 Kengamine in Katashina, Gunma




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リフトを降りると、武尊牧場のキャンプ場である。 ここで数日前に “ツツジ祭り” が行われたと言うだけのことはあり、ものすごい数のレンゲツツジが咲き誇っていた。 056.gif




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西には上州武尊山がそびえている。 この武尊牧場からも登山道があり、武尊避難小屋経由で片道約6kmコースだ。 034.gif




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登山口方向(北西方向)に牧場内の舗装道路を行くと、レンゲツツジの群落の中に人工池がある。 072.gif




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池の周りからカエルの合唱が聞こえてくる。近づいて観察するとオタマジャクシがウジャウジャしていた。写真では大きさが伝わらないが、普通のオタマジャクシよりかなり大きい。これだけ集まると、キモイ! 020.gif 池の周りの樹木に綿菓子?・・じゃなくてカエルの卵かな?・・がハンギングしていた。

そういえば、タスマニアの Cradle Mountain にもオタマジャクシがいっぱいの湖があったな~
→ “Traveling in Tasmania by Solo Japanese woman <Day 5>日本人女性のタスマニア一周ひとり旅 Cradle Mountain-Lake St Clair NP in Tasmania AU




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レンゲツツジのドライフラワーかな? 037.gif




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さて、レンゲツツジの花見を楽しんだら、お目当てのヒメカイウを探しに行こう。 休憩所の横を通って森へと進む。 070.gif




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ダケカンバの林の中に咲くレンゲツツジが緑に映えて、これまた美しい。 056.gif 043.gif




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ツツジの他にもキンポウゲの群落や、ベニバナイチヤクソウもちらほらと見うけられる。 056.gif




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そして、登山ポストのある上州武尊山への登山口が現れる。 この登山道とは別にブナ林を歩く4kmトレイル(遊歩道)が、登山道を挟むようにループで作られている。




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登山口から4kmトレイル(遊歩道)の方に行けば、ヒメカイウ群生地があるようなので、この赤い道標に従って左へ行く。




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ブナ林に入って5分程で、 “ヒメカイウ群生地” の小さな看板があり、湿原いっぱいに里芋の葉っぱのような植物がびっしりと生えていた。こんなにたくさんの株なのに1本も花をつけていない。訪れたのが早かったようだ。 “ここで見られないなら武尊田代の方も咲いていないかな~” 039.gif 思いっきり落胆したが、微かな希望を胸に秘めて先を急ぐ。




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ふと見ると、木の根の穴にすっぽり収まってスミレ?が生えていた。 天然の植木鉢みたい。自然ってやっぱりいいな~ 001.gif




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天然植木鉢に気を取り直して、4kmトレイル(遊歩道)を進むと、上州武尊山への登山道に合流する。そこにはコンクリートの池?が作られていて、映画 “眠る男” のロケ地との案内があった。 映画では森の精霊に会うらしいが、実際のこの森では熊との遭遇が懸念される。 025.gif

さて、当初の私の予定では、ここで遊歩道から分かれて、上州武尊山への登山道へ進み途中から湿原ルートに入る(時計回りする)予定だったのだが、ここでまさかのミスジャッジ! 登山道へ行ってはいけないと思い込み4kmトレイルの周回ルートに進み、結果的に登山口方向に戻ってしまった。 008.gif




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それでも、4kmトレイル(遊歩道)はブナ林の中を行く快適なトレイルなので気づかないままルンルン気分で歩く。 060.gif 070.gif




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足元には、ユキザサ、ズダヤクシュ、エゾノヨツバムグラ、タニギキョウ(写真上)、マイヅルソウ(写真右)などが花盛りで楽しい。 056.gif 043.gif





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そして、レンゲツツジの咲く広場に戻ってしまって、初めて自分が4kmトレイル(遊歩道)を周回してしまったことに気づいた。 005.gif 008.gif
仕方なく東俣パーキングへ進み、湿原へ反時計廻りで行くことにする。
東俣パーキングへは木段が埋め込まれた下り坂の連絡トレイルとなる。
が、ここで昨年のものと思われる注意書きが置かれていた。
「花咲湿原付近で熊による人的被害が発生しました。登山道などで遭遇するかもしれません。・・・省略・・・片品村農林建設課」
“う~ん、どうしよう・・とりあえず熊鈴を装着しておこう・・” 008.gif 039.gif




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4kmトレイル(遊歩道)の分岐から東俣パーキングへは0.5kmほどの連絡トレイルだが、この間にもツボスミレ?(写真左)やサワハコベ(写真右)などの野花がたくさん咲いていた。 056.gif
東俣パーキングは、 “こんなに広いパーキングが使用されていないのはもったいないな~” と思えるほど立派なものだ。
 



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実質的な湿原巡りはこのパーキングから始まる。しかし、4kmトレイル(遊歩道)を周回してしまったので、すでに2時間が経っている。 “ここから10kmか~ リフトの最終乗車時刻4時30分に間に合うかな~?” と、いささか時間が気になるが、ヒメカイウを見たい一心で湿原巡りのトレイル(自然観察遊歩道)へ足を踏み入れるのであった。 071.gif




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まずは花咲湿原まで、2つの沢を越える2.6kmのトレイルだ。 東俣パーキングの北側を東西に流れる草倉沢へ降り沢の右岸(川下に向かって右)を行く。




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クリンソウが咲く湿ったトレイルを沢の上流方向に進む。 056.gif




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しばらく行くと、草倉沢を渡渉するポイントに着くが、木橋は破損しているので飛び石で越える。 071.gif




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一旦、沢筋から離れ、しばらく、なだらかな尾根の山腹を行く。 070.gif




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カラマツ林の中の登りをこなせば、休憩舎のある見通しの良い笹原に出る。 072.gif




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笹原から緩やかなアップダウンの後、林道に出る。 林道を右(東)に10m行くと大きな案内板がある。
林道を挟み案内板と反対側の山腹へ進むトレイルに入るのだが、そのトレイルは “え!ここでいいの?” って思うような藪に覆われた入口である。 039.gif 025.gif




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すぐに江戸沢左俣の流れに出る。
ここからは沢筋なので、水辺を好む花がたくさん見られる。 056.gif
一見スミレに似ているがスミレではない、オオバミゾホオズキ。
お久しぶりにぶりで~す。 043.gif
私がこの花を初めて見たのは北海道の雨竜沼湿原であった。
→ “北海道 芽吹きの湿原から南暑寒岳を登る   Minamishokandake in Hokkaido




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江戸沢左俣の支流に沿って行くと、またもや渡渉となる。
オオバミゾホオズキの他にも、水際で華麗に咲く白い花がある。 056.gif
ニリンソウかな? サンリンソウかな?




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渡渉の後は沢から離れ、ダケカンバやブナの森を抜ける。
花咲湿原までは、あと1km弱だ。
ブナの森と言えば、必ずいるはずのギンちゃんこと、ギンリョウソウ。 056.gif

このギンちゃんは色々な山で見かけるが、印象に残っているのが、昨年の今頃に訪れたカヤの平である。
日本一美しいというブナ林には、ギンちゃんファミリーが一族、親戚まで引き連れて群生していた。 041.gif
→ “上信越 カヤの平高原 ブナ林に眠る2つの湿原   Kayanodaira in Jōshin'etsu-kōgen National Park




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そして、東俣パーキングから1時間20分ほどで、ブナ林から突然目の前が開ける。 そこは花咲湿原であった。 古びた木道が北に伸びている。




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と、ここで嫌な予感! 木道は全体的にだいぶ古く朽ち果てている感じなのだが、この荒れ方は尋常ではない。何者かによって破壊されている感じだ。 005.gif 008.gif
 



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そこには何かの足跡も残っている。 鹿かな? 猪かな? もしかして熊? 035.gif 人食い熊のニュースも報じられていたし、 熊だとしたら、それはクマった(困った)な~・・なんてダジャレってる場合ではないぞ! 008.gif  武器はハイキングストックしかないな~・・熊の急所は鼻らしいから、いざとなったらストックで鼻を攻撃しよう。でも、的を外してしまったらどうなるのか? こんなことならフェンシングか剣道でも習っておけばよかった! とりあえず熊鈴を全開で鳴らしてさっさと行こう。 017.gif




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また、木道のコンディションについてであるが、古くて板が腐っているのは仕方ないとしても、釘が高く突起しているのが実に歩きづらい。 008.gif
湿原といっても隣接する尾瀬と比べて魅力も薄い、近年の熊の出没に、東俣パーキングへの林道崩壊など、このエリアへのテコ入れは難しい問題があるのだろうか? 039.gif 002.gif

追記:  片品村役場むらづくり観光課へ確認したところ下記のような回答がありました。
担当の萩原様、丁寧に回答下さりありがとうございます。 大好きな尾瀬をはじめ、自然豊かな片品村を応援しています。 040.gif

【武尊牧場の花咲湿原での木道破損は熊の仕業でしょうか?】
木道破損は「熊」の仕業?!かどうかは確かではありませんが、いずれにしても「熊」の目撃情報は多いですので、熊鈴等の対策装備は十分していただきお越し下さい。

【木道修復の予定などは無いのでしょうか?】
現在、現地調査を行い修復必要な個所は修復する方向で検討しております。
なお、登山の自然性を守るためには、自然状態に近いルートを可能な限り残すことが必要ではないかと考えていますので、過剰な整備等は避けたいと思います。






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熊の気配に恐々としながらも、静かな湿原歩きは気持ちが良い。
水量の多い尾瀬に比べたらだいぶ乾燥化した感じではあるが、その素朴なたたずまいは決して悪くはない。 049.gif
この時季はワタスゲやコバイケイソウ、白や紫のスミレがいっぱい咲いている。 056.gif




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さて、ヒメカイウを求めて花咲湿原から武尊田代の湿原へ向かう。花咲湿原から短い坂を登れば、ブナの森の中に続く歩き易いトレイルとなる。




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そして、花咲湿原と武尊田代の中間くらいに “ヒメカイウ群生地” と書かれた立派な看板が現れた。看板の奥には細い水草のような中にヒメカイウと思われる植物が生えている。




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白い花らしきものが見えるので、ズームしてみれば、ヒメカイウで間違いなさそうだ。 ミズバショウの小型バージョンのような? 花屋で売っているカラーのような? やっと会えたね。 043.gif 熊はミズバショウも食べるらしいから、熊に食べられないようにね。・・って、私も熊の餌にならないように気をつけねば・・ 037.gif 035.gif




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ヒメカイウ群生地から程なくして、武尊牧場90分の道標が現れる。

ここを右に行き、ぬかるんだ湿地帯をトラバースすれば武尊田代の大湿原に着く。




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武尊田代の湿原には木道は無いので、湿原の周りを一周する遊歩道を歩くことになる。ここでもレンゲツツジが美しい。 056.gif




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見た目は湿原というより、大草原のように見えるが、ワタスゲやコバイケイソウなどが群生する湿原である。




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周回トレイルの途中には、みなかみ町からアプローチする、上州武尊山の登山口がある。こちら側からのルートも武尊避難小屋で武尊牧場からのルートと合流する。





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さて、お楽しみの湿原巡りを終え、後は武尊牧場まで90分のトレイル(自然観察遊歩道)をひたすら歩くだけだ。 今までの沢筋のトレイルとは違い、笹の生い茂る広葉樹林の森を行くので、あまり面白くない。




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尾根の山腹を、ときどき小沢を横切りながらのトレイルなので、アップダウンはさほど大きくはない。

武尊田代から3.4km、1時間ほどでようやく上州武尊山の登山道と合流する。




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武尊牧場まで、若いブナの樹林帯を通り、映画のロケ地を経由して登山口まで戻る。 登山口からリフト乗り場までダッシュで戻り、何とか最終乗車時間に間に合った。 042.gif 万が一リフトに乗れなくてもスキー場を歩いて降りるだけなのでリフト乗り場のパーキングまでは15分くらいだろう。 070.gif




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念願のヒメカイウも数は少なかったけれど見ることができたし、何より多くの種類の花を見られた。
単独だったので熊の気配が怖かった。 008.gif
ヒメカイウは6月下旬から7月上旬が見頃らしいので、これから行く方は単独は避けた方が良いだろう。 034.gif
単独で行くなら熊避けグッズは必携だよ。 034.gif
あと熊と戦うならフェンシングを習っておこう。 041.gif

今年は西上州の三ツ岩岳赤城山でアカヤシオ、荒船山でミツバツツジ、高ジョッキでヤマツツジ、庚申山皇海山でシロヤシオを堪能した。
そして締めは武尊牧場でレンゲツツジだった。もうツツジはいいです。 003.gif

私のこのトレイルへの評価: 4★ 中級者向け(4kmトレイルだけなら初心者、初級者向け)
行程距離: 約12km(武尊牧場キャンプ場‐4km遊歩道周回‐東俣パーキング‐花咲湿原‐武尊田代‐上州武尊山登山道分岐‐武尊牧場キャンプ場)
標高差: 約310m(累積高低差 約560m)
実動時間: 約6時間 (4kmトレイル2時間、湿原巡り4時間、休憩込み)

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by dream8sue | 2016-06-10 04:11 | 群馬県エリア | Trackback | Comments(2)
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Commented by y at 2016-06-30 19:03 x
冒頭の方のカエルってモリアオガエルっすね
モリアオガエルの卵見てみたいです

生息数は多くはないと思うので、卵を観れたのは幸運じゃないでしょうか?
Commented by dream8sue at 2016-07-02 21:37
yさん、
モリアオガエルの卵を見てみたいのですね?
群馬県内でモリアオガエルの生息地で有名なのは、谷川連峰の南に位置する大峰山がありますよ。
大峰山のピークの南に大峰沼という池があって、その池の周辺に生息しているようです。
ちなみに、大峰山から北に伸びる吾妻耶山を縦走するのも、ハイカーの間では人気ルートです。
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