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南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)     Nokogiri in Minami Alps

Tuesday, August 9, 2016
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最短ルートで鋸岳(南アルプス)の核心部を歩く角兵衛沢から熊穴沢のループトレイルは、まさに鋸岳の真髄を知るルートである。
鋸岳をループで登る場合、中ノ川乗越から第1高点(鋸岳)に向かう方が楽である。私たちが今回歩いた時計回りのルートは不利である。が、角兵衛沢出合でテント泊をすることで、軽荷で身体への負担を減らしスピードアップを図ることができた。
角兵衛沢出合までのアプローチ編はこちらから → “南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(前編)Nokogiri in Minami Alps NP”





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角兵衛沢出合のケルンから薄暗い樹林帯を行く。 踏み跡はしっかりしているが、夜明け前のヘッドライトの灯りだけでは踏み跡を探すのは難しい。私達も予定より30分ほど遅らせて4時45分にテント場をスタートした。 小尾根を越えるようにして “一合目” の手作りの小さな道標に出たら、右の踏み跡をトレースする。 左方向には、昔は寝木小屋沢を経て横岳峠に登る路があったようだ。(現在は廃道)




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しばらく樹林帯の登りが続き、やがて積み跡が判然としなくなると明るいガレ場に出る。ガレ場のケルンを目指し高度を上げていくと、右側に第二尾根から派生する大岩壁(角兵衛ノ大岩)が見えてくる。




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右側の尾根に登り、岩壁に沿って右に3分ほど(100mくらい?)行くと “大岩下の岩小屋” がある。オーバーハングした岩壁の割れ目から少量ではあるが水が涸れずに染み出ている。 周辺にはテントを3,4張れるスペースがある。 水場のおかげで、辺りは高山植物のお花畑になっている。 角兵衛沢出合からここまで約2時間30分。休憩するには最適な場所だ。  063.gif




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南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)        Nokogiri in Minami Alps_f0308721_2055343.jpg南アルプスの特徴として、夏に雨が多く、冬の積雪量は少ない。
よって森林限界の標高が高く稜線付近(2,700m付近)まで森に覆われている。
そのため植物も南アルプス国立公園にのみ分布する固有種がみられる。
その一種であるタカネビランジがちょうど満開であった。(写真上) 056.gif
私はこの花に会うのは、鳳凰三山ハイク以来2年ぶりの再会だ。
知っている花に出会うとまるで旧友にでも会ったみたいに嬉しくなるから不思議だね。 003.gif
他にも、ヒヨドリバナ、アキノキリンソウ、ホタルブクロ、ヤマハハコ、オヤマボクチ、オトギリソウ、ムラサキタカネアオヤギソウ(タカネシュロソウ)など多くの花が見られる。  056.gif




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岩小屋周辺の居心地の良さについつい長い休憩になってしまうが、まだまだ先は長いので先を急ごう。 角兵衛沢右俣に戻り、赤茶けた砕石の押し出しが延々と続くガレ場を角兵衛沢ノコルまで登る。 どこを歩いても足場が悪いが、岩壁の基部に沿って右側を行くと比較的登り易いだろう。 034.gif




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部分的な草つきやダケカンバが生えているが、ガレ場が途切れることはない。やがて、右岸(左側)にスフィンクス岩が見えてくる辺りになると、傾斜はさらに勾配を増す。 下部よりも砕石も細かくなり不安定で歩きづらくなってくる。 008.gif




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息を切らして登りながら時々振り返れば、戸台川を隔てて南アプルス林道が山腹にくっきりと見える。 その奥には中央アルプスも眺められる。 072.gif




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ガレ場を左にトラバースし、コルへ続く尾根の末端を廻り込む。




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いよいよ角兵衛沢ノコルまであと少しだ! この辺りは最高に傾斜がきつく前にもまして急登を強いられる。 安定しない足場をこらえながら、ほぼ四足になって登る。最後の踏ん張りどころだ。 042.gif
南アルプスは現在でも隆起が続いていて、その隆起速度は年間3~4mmという日本最速らしい。 当然、崩壊も多く、多雨な気候と相まってV字谷やこのような崩壊地が多いとのこと。 知らなかった!  005.gif




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岩壁とガレ場のわずかな隙間にオタカラコウやタカネヒゴダイ(写真左)、ウメバチソウなどが咲き、岩壁にへばりつくようにダイモンジソウ(写真右)が咲いていた。 056.gif




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大岩下の岩小屋から2時間強、待望の角兵衛沢ノコルに着く。 コルは露岩のある狭い鞍部である。 テントを張るなら1段下がった角兵衛沢側にギリギリ1張り可能なスペースがある。




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角兵衛沢ノコルの東側には三角点ピークがそびえている。




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第1高点へは角兵衛沢ノコルから右(西側)へ縦走路をたどり、ハイマツやナナカマドなどが生える垂直にちかい岩稜を登る。 071.gif




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ナナカマドの実かな? 早くもワインレッドに色づいているね。 043.gif




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岩稜をひと登りで小さな肩に出る。 眼下には先ほど息を切らして登ってきた角兵衛沢のガレ沢が広がっている。




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ろくに養土となる土など無いと思われる岩の上にも高山植物が根を下ろしている。 このイエローの花はイワインチンかな? 056.gif




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角兵衛沢ノコルから20分ほどで鋸岳最高峰の第1高点(2,685m)に着く。 トンガリピークなので眺望は優れている。




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第2高点を隔てて甲斐駒ヶ岳が悠然とそびえている。 その右奥には北岳の pyramidal な山容が素敵だ!




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右手には、 “南アルプスの女王” と呼ばれる仙丈岳が、穏やかで優雅な姿を見せている。




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北側に目を向ければ、八ヶ岳が雲を被り、その下には日向山の白い山肌が光っている。 噂には聞いていたが、日向山ってあんなに白いのか~ 一見の価値がありそうだ。 005.gif




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展望だけではなく、陽当たりの良い岩稜にはたくさんの高山植物が咲いているので足元にも目がいく。 こちらも久しぶりに見るトウヤクリンドウ(写真左)。




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さて、第1高点で展望を楽しんだ後は、第2高点を目指そう。 前方には第2高点がくっきりと見えているが、そこに至るまでの稜線が複雑な線をえがいている。 いよいよ鋸岳の核心部に突入だ。 070.gif




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岩稜のトレイルを行くと小ギャップの上に出る。 鞍部が見下ろせるので高度感がある。 狭い鞍部からは長野県側(南側)に崩壊したルンゼが切れ落ちている。




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小ギャップへは10mほどの垂壁をクサリを頼りに降りる。 逆層の垂壁で足場が悪く、クサリががセットされているとはいえ緊張する。 008.gif




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10mのクサリ場を小ギャップ鞍部から見上げる。




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小ギャップ鞍部からの登り返しも長いクサリ場である。 005.gif




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中間部が被り気味の岩場でパワーを要する。 上部でクサリが太くなり握りづらくなるので、左の草つきについた踏み跡へ逃げる。




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クサリ場を越えるとナイフリッジになるので、リッジ通しではなく北側の巻き路に進む。 071.gif




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巻き路から岩峰を廻り込んだところに鹿ノ窓(鹿穴)がある。この鹿ノ窓から第2高点までが最難所である。 008.gif




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鹿ノ窓をくぐって、60mはあろうかと思える長~いクサリの下降だ。 岩は逆層で、しかも脆く浮石だらけである。 トップがあらかじめ表面の浮石は払い落して下降したが、後続者の下降時には岩場の下に居てはいけない。できるだけ右岸の草つきに逃げて待機しよう。 034.gif




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さて、この後のルートファインディングが難しい。 鹿ノ窓から落ちているルンゼを降り、大ギャップから落ちている狭いルンゼへトラバースするのが正解ルートである。が、見た目には、 “この先は断崖で下りられません” と思わせるほどの険悪なルンゼを下る。 この辺りのルートファインディングが時計回りの難しさなのだと実感する。 第2高点からの方がルートを見つけやすいだろう。
また、鹿ノ窓から落ちているルンゼの途中から巻き路があるが、この巻き路は2つのルンゼの中間尾根へ続いていて、第3高点(中岳)への路である。第3高点に登っても大ギャップへはロープなどが無いと降りられないので通常は第3高点へは行かない。 034.gif




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鹿ノ窓から落ちるルンゼを、 “もうこれ以上は降りられません” というところまで降り、ルンゼの中にある幅10㎝程度の岩バントを5mほどトラバースして、さらに中間尾根の末端壁に沿って大ギャップから落ちるルンゼへと降りる。
この中間尾根の末端へトラバースするルンゼの10㎝バンドが分かりづらい。全員の目を皿にしてこのポイントを探そう。 034.gif




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中間尾根の末端壁の右側は、落ちたらアウトの深い谷なのでトラバースは要注意だよ。 034.gif




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大ギャップから切れ落ちているルンゼ(ガレ沢)に降りたら右へトラバースする。




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ガレ場から右の尾根に登り、樹林帯に入って20分ほど登り返せば、第2高点の南西稜に這い上がる。 042.gif




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南西稜を左に少し登れば第2高点(2,675m)に着く。 第2高点のピークには錆びた剣が天を刺している。 その剣と同じくらい鋭い後方のピークが先ほどクサリの連続で登り下りした第1高点(鋸岳最高峰)である。第1高点から第2高点間の核心部に2時間30分を要した。
By the way, なぜ鋸岳だけピークを第1高点とか第2高点というのだろう? 通常は第1峰、2峰とか、西岳、東岳などと言うのにね。 039.gif




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さて、第2高点で最後の展望を楽しんだら熊穴沢右俣の下山ルートに進もう。 まず第2高点から中ノ川乗越へ下りるために甲斐駒ヶ岳への縦走路を東に行く。 第2高点のピークから東の小ギャップまで降り、そこから右へ岩稜と岩稜との間のガラ場を降る。




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南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)        Nokogiri in Minami Alps_f0308721_2130940.jpg踏み跡ははっきりしているが、相変わらず足場が不安定でつらいところだ。
しかし、ここは緑のルンゼでお花が一面を覆っている。 056.gif
ここで初めて見た花が、ミソガワソウ(写真上)だ。
写真左は、おなじみのマツムシソウだね。 056.gif




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中ノ川乗越が眼下に見えている。 山梨側(北側)には樹木が生えているが、南面の熊穴沢右俣は崩れ落ちた斜面で、角兵衛沢右俣同様にガレ場が続いている。
ちなみに、第2高点から西側の大ギャップ、鹿窓ルンゼ、小ギャップなどは熊穴沢の左俣源頭部になる。




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中ノ川乗越から右側の岩の墓場のようなガレ場を降る。 熊穴沢右俣は、角兵衛沢右俣に比べて幅も広く、足元の石も大きい。しかし、踏み跡など無いので石から石へ飛び石しながら降りる。 比較的大きな砕石なので安定はしているが、膝には悪そうだ。 008.gif




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振り返れば中ノ川乗越の大きなギャップが、もうあんなに遠くになっている。




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ガレ場を左寄りに降っていくと、やがてカラマツ林が現れるので、しばらくはカラマツ林の中を行く。 カラマツも根元まで砕石で埋まっていて痛々しい。 002.gif




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そして樹林帯に入ってしばらく行くと、ようやく砕石から解放される。 カラマツとシャクナゲのしっとりした森となり、膝にも優しいトレイルとなる。 ふぅ~・・やはりガレ場歩きは疲れるね。 042.gif




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第2高点から熊穴沢の下降に3時間30分を要し、ようやく熊穴沢出合の河原に出る。 
早朝に角兵衛沢出合をスタートしてから12時間が経過していた。 消耗した身体には戸台川の水が嬉しい。頭から水をかぶって互いの労をねぎらう。




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熊ノ沢の出合はこんなに狭く、沢というよりただの崖崩れにも見える。 この奥にあんなに大規模なガレ沢があるとは想像もつかない。




南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)        Nokogiri in Minami Alps_f0308721_21342055.jpg熊穴沢出合からテントを張った角兵衛沢出合までは、戸台川を渡渉して左岸の路を行く。
20分ほど下流に歩けば角兵衛沢入口に着く。
今宵も角兵衛沢出合に泊まることにする。
角兵衛沢出合から戸台への下山は、アプロート編と同じルートなので、そちらを確認してください。 040.gif 043.gif





南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)        Nokogiri in Minami Alps_f0308721_21353765.jpg鋸岳の縦走路は複雑な地形の岩場なので、ハイキングマップだけでは対応できないものがある。
そして、ルートファインディングもさることながら、ザレ場の急登や脆い岩場での対処能力が試されるルートだ。
まさしく上級ハイカー向けのルートである。
初級者だけでは行かない方が良いだろう。 034.gif
久しぶりに手ごたえのあるトレイル歩きだった。

私のこのトレイルへの評価: 4★ 上級者向け
行程距離: 約6.5km(角兵衛沢出合‐大岩下の岩小屋‐角兵衛沢ノコル‐第1高点‐第2高点‐中ノ川乗越‐熊穴沢出合 - 角兵衛沢出合)
標高差: 約1,365m
実動時間: 約13 時間(休憩込み)


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by dream8sue | 2016-08-09 20:47 | 南アルプス 国立公園 | Comments(10)
Commented by akeno7115 at 2016-09-05 22:29 x
こんにちは。鹿窓から大ギャップルンゼへのルートは初見だと悩みますね。私は赤Xの踏み跡を使って大ギャップに近い位置へ抜けました。体力的には楽でしたが、第2高点への登り返しルートを探すのが苦労しました。
こっちの方に来たらぜひ立ち寄ってください。日向山に登りに来る時にでも皆さんでどうですか。
Commented by tamataro1111 at 2016-09-06 08:44
お早うございます。
鋸岳のバリエーション楽しまれましたね。。。
何か以前 ( 1960年代 ) より更に崩落 崩壊が進んでいるように観れましたが。。。山はすっかり初秋の花が咲いていますね。
日向山からの甲斐駒の展望おすすめですょ。
Commented by dream8sue at 2016-09-06 16:48
akeno7115 さん、こんにちは。
鋸岳、ルーファイに苦労しました。でも、登り甲斐のある面白いルートでした。
あら、日向山、来週11日に行きますよ。お近くなんですか?
ところで、日向山の近くにある尾白川のルートにつきてお聞きしたいのですが・・
尾白川渓谷から五合目小屋跡まで、渓谷沿のトレイルを歩いたことはありますか?
私の古い地図では破線で残っていつのですが・・沢登りになるのかしら?
Commented by dream8sue at 2016-09-06 17:06
tamataro1111 さん、こんにちは。
1960年代!? 半世紀前ですよ~! それは崩落、崩壊も進んでいるでしょう。なにせ1年で3~4ミリも隆起しているわけですから。

>>日向山からの甲斐駒の展望おすすめですょ。
今週末、日向山に行ってきま~す。 o(*゚∀゚*)oワクワク! 
Commented by akeno7115 at 2016-09-06 22:18 x
>尾白川渓谷から五合目小屋跡まで、渓谷沿のトレイルを歩いたことはありますか?

一体何十年前の地図をお持ちですか。30年以上前にルートは消滅しています。不動滝までは遊歩道あり。以降、完全な沢歩きです。

日向山はすぐ近くですよ。11日は天気が悪いようですが、状況次第でお会いしましょう。
Commented by dream8sue at 2016-09-07 01:05
akeno7115 さん
hahaha ・・・やはりルートは消滅していましたか。。ヽ(-´ω`-。)
では、いつか、沢登りの装備で行ってみます。(笑)

11日は天気が悪そうですね~
お天気優先主義で、天気の良い日にぶらっと出かけてみます。
Commented by y at 2016-09-07 18:43 x
鋸岳 ちゃんと鎖が設置されてるとは知りませんでした
鎖も比較的新しいような

沢はこれでもかっていうくらいにガレガレですね

ちなみに、尾白川渓谷道 林道終点から上は、尾白川の氷瀑に人が入っていた頃は踏み跡はあったのですが、今はどうなんでしょう
Commented by dream8sue at 2016-09-07 22:16
y さん、コメントありがとうございます。
私は、黄連谷以外は尾白川渓谷でアイスをしたことがなく、“尾白川の氷瀑”のはっきりとした場所が分かりません。が、錦滝周辺(林道途中)は今でもアイスエリアとして登られているようです。
林道終点から上 というのは尾白川本谷上流のことですか? それとも本谷の北面(鞍掛沢など)のことかしら?
私が歩いてみたい 尾白川の失われた路?は、遊歩道終点の不動滝から本谷を上流にさかのぼって、黄連谷の千丈滝までです。
何故なら、12年前に黄連谷右俣を冬期単独して千丈滝から上流は歩いているので、千丈滝から下流部分を歩いてみたいのですよ。
Commented by y at 2016-09-08 21:33 x
言葉が足りなくてすみません
尾白川の本谷上流の氷瀑(北坊主とか西坊主、滑滝沢)です
それらを登るには迷わなければ沢沿いの方が早いので使ってる人たちはいたようです
私も歩きましたが、滝の巻道には針金とかは残ってました
Commented by dream8sue at 2016-09-08 22:18
y さん
尾白川本谷上流の情報、ありがとうございます。
古くは「尾白渓谷道」と呼ばれた一般登山道があったルートのようですが、現在はその面影はほとんど残っておらず、完全な沢登りルートと考えたほうが良いようです。
しかも結構長い!私の足では日帰りでは無理なようです。

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