安中市 妙義山 裏妙義の御殿東壁は想像を絶する藪岩     Mount Myōgi in Annaka, Gunma 

Sunday, November 26, 2017
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群馬県の妙義山は、妙義湖(中木ダム)を挟んで南側の表妙義と、北側の裏妙義に分かれる。
そして裏妙義のシンボル、丁須の頭の前衛壁として御殿の岩峰群が際立っている。
今回は、その御殿の東壁と、東壁へのアプローチとして下部の風穴稜を登る。

なお、裏妙義には一般ルートの篭沢コースと巡視道の間に風穴尾根というのがあるが、御殿の風穴稜とは別物なので混同しないようにね。

最近、Web上のブログを読んでバリエーションルートに入って遭難する人が増えているそうです。
このルートは一般ルートではありません。
入山に際しては必ず経験者(読図や登攀のできるレベル)やガイドと同行してください。
 



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旧裏妙義国民宿舎(裏妙義国民宿舎は2016年3月に閉鎖さえている)から0.3kmほど妙義湖よりにあるパーキングスペースに車を停めて、
さらに0.5kmほど下流の釜ノ沢右岸の林道跡に入る。
古い立て看板のある林道跡をさかのぼれば、両方に滝のかかる二俣となる。

なお、旧国民宿舎までのアクセスは
 “安中市 妙義山 篭沢から登る冬の丁須の頭 Mushroom Rock “Chosunokashira” in Mount Myogi” (下記リンク)を参照のこと。





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右俣に入り、落ち葉で埋まる瀞を避けて、右岸の泥ルンゼを登り尾根に上がる。



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尾根上は藪は無いが、踏み跡も無い。  
時々現れる岩塊を巻いたり、ロープ確保しながら正面を登ったりして高度を上げる。



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やがて、右側に朝陽に照らされた御岳尾根の岩稜が見えてくる。
すると、こちらの尾根上では大きなミズナラの木に出くわす。
このミズナラの大木は、このルートを登るクライマーたちの良き目印になっているようだ。



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さらに倒木が横たわる足場の悪くなった斜面を登ると、いよいよ風穴稜の岩稜が始まる。



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何処から取り付くのか、あちこち探し廻ったあげく、泥の詰まった藪ルンゼをロープ確保して突破する。  144.png
ここの泥壁にはアイスバイルが決まる。



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登り上げた岩稜からは、右前方に御殿の東壁、左横には中木川を挟んで裏妙義の谷急山(下記リンク参照)や表妙義の星穴岳などが姿を現す。




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そして、岩稜の右側にあるバンドを50mほど行ったところに大きな風穴が空いている。



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風穴の大きさは、星穴岳のむすび穴(下記リンク参照)くらいの大きさだろうか?
風穴の奥にもビバークできそうな洞穴がある。
妙義山にはこんな穴や門や奇岩がいっぱいで、実に面白い。 さすが日本三大奇勝の山だね。




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さて、風穴まで3時間で着いたので何とか東壁の登攀もやれそうだ。
風穴見物の後は、今度は星穴の上のナイフリッジ(上の写真の左の岩稜)に乗り、東壁とのコル(ギャップ)を目指す。



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ナイフリッジに乗ると眺めは抜群で、眼前に東壁が迫る。  三( ゚Д゚) ス、スゲー!

おいおい、こんな壁登れるのか~・・・ヒィィ((ll゚゚Д゚゚ll))ィィ!!!



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右下の御殿の支稜にも岩壁が連なっている。



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ナイフリッジには、念のためフィックスロープを張って進む。



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この下が、先ほど遊んだ風穴である。



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ナイフリッジを渡り終え、東壁のコルへは2回のラペルとなる。
最初は5mくらいの短いラペル。



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そこから2回目の下降ポイントまでヤセ尾根を行く。
東壁の左側にも、軍艦岩?と思われる岩が連立している。
岩の要塞の真っ只中に自分がいることを認識させられる。 もう逃げだすことはできないのか?  140.png



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いえいえ、大丈夫・・逃げ道はある。  103.png
2回目、40mの長いラベルで東壁とのギャップ(東壁取付き)へ降りれば篭沢側へ逃げる(下降する)ことができる。

今回、ラペルポイントの立木にグリーンのスリングを残置した。



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さて、どうにか東壁の取付きに着いた。
本当に登るの?って、確認するまでもなく全員戦闘モードじゃん! 躊躇しているのは私だけ?  105.png

1ピッチ目(Ⅲ級/40m)の出だしは逆層のフェイスで、見た目より悪い。
“これⅢ級じゃないしょ!” と心の声。  149.png

逆層のフェイスから左上して藪岩を40m登ると、顕著なルンゼの下に出る。
ビレイポイントには、茨木山岳会が残置したと思われるスリングとカラビナがあった。



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そして迎えた、最悪の2ピッチ目(Ⅳ級/40m)。
このルンゼを登るのだが・・これがまたひどく汚いルンゼで・・   140.png
ルンゼ全体に泥が詰まっていて、頭の上から石やら土やらブッシュやらが降ってくる。
目にも鼻にも、口にも砂が入ってくる。
“これって、何かの罰ゲームですか! 私何か悪いことしたっけ!?”   145.png



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イワヒバ(イワマツ)だらけで、ホールドを探すのも一苦労だ。
さらに、泥壁のスタンスは足元から崩れていく。
スタンスが崩れ落ちる前に、次のホールドかスタンスを探さないと墜落だ!  149.png

プロテクション? そんなものは取りたくても取れない。
気休めに、細い木の根にスリングを巻きつけていくくらいだ。
正直 “リードでなくて良かった~” と心の声  



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3ピッチ目(Ⅲ級/40m)。 リードを交代して私が登る。
岩壁の基部を大きく左にトラバースして、カンテの反対側のクラックから泥斜面を這い上がる。  144.png



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ナラの木でアンカーを取り、セカンドをビレーする。
眼下にはいつの間にか針峰が現れた。

その下には、妙義湖が藍色の湖面をたたえている。
“ああ~♪ 哀愁の~妙義湖よ~♪” 知る人ぞ知る名曲が頭の中でレフレーインしている。  169.png
やばい、私、あまりのハードなクライミングに壊れてきたか!  149.png



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山麓の紅葉が綺麗だな~・・なんてのん気にしている場合ではない。  105.png



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4ピッチ目(Ⅲ級+/35m)の出だしは、垂壁の乗越し。



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最終ピッチ(Ⅲ級+/25m)は、中段テラスまで易しい岩場を左上し、
その上は露質感のあるフェイスから勾配のつよい草付きを這い上がる。
マツの木の樹林帯に到達して登攀終了。 ふぅ~、泥壁から解放されて笑顔がこぼれる瞬間だ。 110.png



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終了点から10分くらいで御殿の頭に着く。
御殿の頭に集結するクライマーたち・・しばし達成感に浸る。  114.png



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しかし、夕闇が迫っている。 ゆっくりしている時間はない。 105.png
御殿の頭から丁須の頭の一般ルートを目指して先を急ぐ。

あたりは、あっちもこっちもシルエット祭り状態だ。
振り返れば御殿の頭と、その後ろに表妙義の白雲山のシルエットが浮かんでいる。



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その右へ目を向ければ、鷹返しの絶壁から星穴岳までのゴツゴツした岩稜が、まるで針が折れた針ネズミみたい。  102.png



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一般路へ向けて藪尾根を行く。
マッシュルームのシルエットが目指す丁須の頭だが・・結構遠いな~。
ルートも思っていた以上に複雑で、一部ラペルで降りる絶壁などもあった。 143.png



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丁須の頭直下の一般ルートに出た時点で日没を迎えた。
一般ルートと言っても、そこは妙義山である・・  
クサリ場も多く、篭沢の沢筋に入ると渡渉もあり複雑な地形である。

ヘッドランプを頼りにトレースを追う。
久しぶりのハードな山行で身体は疲れているのに、神経だけが高揚している。  

一般ルートを歩くこと約1時間半、真っ暗な国民宿舎に帰り着き、ようやく安堵する。
パーキングまでの林道を歩きながら、互いの労をねぎらう。  


東壁の各ピッチは・・ここまでひどい藪岩とは思っていなかった。
岩の脆さと泥壁に妙義山の核心を見た気がする。

足元から崩れていくスタンスに生きた心地がしないので、メンタルが強くないと泣きをみる。  148.png
冬壁とかやっているアルパインクライマーなら楽勝だろう。

すっかりハイカーになってしまった私には、久しぶりに貴重なクライミングであった。
もう2度と東壁を登ることは無いだろうが、一生に一度の東壁クライミングに付き合ってくれた同行者たちに感謝の気持ちでいっぱいだ。 124.png 

最後に、今回の東壁登攀に際しては、メンベ岩(下記リンク参照)同等に茨木山岳会のブログを参考にさせていただきました。
貴重な情報をありがとうございました。 109.png




本ルートのマップ は下記のヤマレコのリンクをクリックしてね (^_-)-☆ 

私のこのトレイルへの評価: 4★ 熟達者向け(要登攀技術)
距離:約10km/ 所要時間:東壁クライミング4.5時間込で約12.5時間(妙義湖畔P 6:00‐風穴 9:00/9:20‐御殿東壁取付き 11:00‐東壁登攀終了 15:30‐御殿ピーク16:00‐篭沢ルート合流 17:00‐妙義湖畔P 18:30)
標高差: 約600m

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by dream8sue | 2017-11-26 15:23 | Rock Climbing | Trackback | Comments(0)
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