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前橋市 赤城山 静かなトレイル鈴ヶ岳     Suzugatake in Mount Akagi, Gunma

Friday, August 26, 2016
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赤城山は、カルデラ湖の大沼を取り囲む外輪山である黒檜山、駒ヶ岳、地蔵岳や、小沼の東にある小地蔵岳や長七郎山、少し離れて位置する鈴ヶ岳、荒山、鍋割山などの総称である。
そして、今回訪れた鈴ヶ岳は、大沼の西に位置し、他の外輪山に比べ地形的に孤立しているので、訪れる登山者も少なく静かな山行を楽しむことができる。




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f0308721_2113427.jpg<公共交通の場合>
JR両毛線の前橋駅から路線バス(関越交通)で富士見温泉行きに乗り、赤城ビジターセンター行きに乗り換え、新坂平バス停下車。 
週末は赤城山直通バス(4/1~10/31土日祝運行)もあるので、それらをうまく利用しよう。

<マイカーの場合>
マイカー利用の場合は、国道17号線で渋川方面に向かい、市街の “住吉町交番前” の交差点を右折、その先3つ目の交差点で県道4号線を左折する。
県道4号線は通称 “赤城県道” と言われる道なのでこの道をひたすら赤城山に向かって走れば観光案内所のある白樺牧場を経由し、大沼の湖畔に至る。
鈴ヶ岳登山口の新坂平は、白樺牧場の南端にある。
白樺牧場の西にはこれから登る鍬柄山などの尾根がそびえている。




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鍬柄山まではツツジと白樺の森を進むこのトレイルは、この時期はササの中を歩く印象だが、新緑やツツジの開花時季ならさぞかし気持ちの良いトレイルかと思う。 ハイキングにおいて、トレイルへの印象は歩く季節で大きく変わるからね。
登山口から少し登ると、途中で2つに分かれる路が数ヶ所あるが、基本的に尾根筋に沿って北に進む。 ずうっと有刺鉄線の柵が設置されているのが気になるが獣避けだろうか?




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30分ほどの登りで1,4987mの小ピークを越える。 その先にある見晴らしの良い露岩にたち寄り、早速展望を楽しむ。 072.gif
眼下には白樺とレンゲツツジの群落である白樺牧場が広がっている。 まだらな樹木はツツジの木で、5月~6月にかけて辺りを紅く染める光景は一見の価値がある。 ちなみに毎年6月上旬にはツツジ祭りが開催されている。
見えている赤い屋根は、赤城山総合観光案内所だ。 赤城山の情報やハイキングマップなどを得ることができる。




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鍬柄峠からやや傾斜のきつい尾根をひと登りで鍬柄山に着く。




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鍬柄山のピークは、それほど広くはないが展望は素晴らしい。 東側には電波塔の建ち並ぶ地蔵岳が県道4号線を挟んで対岸にそびえている。 
地蔵岳ハイクはこちらから → “前橋市 赤城山 霧の地蔵岳と大沼一周   Jizodake in Mount Akagi”





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北側には大沼を取り囲む外輪山、とりわけ赤城山最高峰の黒檜山から駒ケ岳の山並みが一望できる。
晴れていれば、上毛三山の他の2座である榛名山と妙義山をはじめ、浅間山や八ヶ岳、上州武尊山や尾瀬の至仏山や燧ヶ岳なども見えるようだが、この日は雨上がりの雲の多いスカイコンディションで見えなかった。
黒檜山から駒ケ岳ハイクはこちらから →  “前橋市 赤城山 雨あがりの黒檜山から駒ヶ岳   kurobisan & Komagatake in Mount Akagi”





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鍬柄山でしばし展望を楽しんだら、鈴ヶ岳への縦走を続けよう。 鍬柄山直下はガレたヤセ尾根なのでスリップ注意。 034.gif 木立の間から姿をのぞかせる鈴ヶ岳が、思った以上に大きく高く感じる。




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ヤセ尾根を降りきった鞍部が大ダオだ。 南北には渋川市の赤城キャンプ場から周回するルートが交わっている。北回りと南回りがあり、いずれもこの大ダオで私たちが歩いてきた新坂平ルートと合流する。 




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ツツジの咲く初夏とは違い、この時期の鈴ヶ岳は華やかさに欠けている。そんな中で見つけたのがアキノキリンソウ(写真左)とミヤマママコナ(写真右)。今年も会えたね。 043.gif 056.gif




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鈴ヶ岳へは、大ダオを直進して北西の急な尾根を進む。フィックスロープがセットされた岩場が出てくる。




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岩場を越えると南面が切れ落ちた尾根上に出る。南東に歩いてきた鍬柄山方面の稜線が見える。 072.gif




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さらに自然林の尾根を登っていく。 大きな石が露出したトレイルには、側らに石碑が現れる。山頂はもうすぐそこだ。




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ようやくたどり着いた山頂には、かつての信仰の山にありがちな大きな石碑が祀られている。 




f0308721_21291291.jpg山頂でランチ休憩の際に帰路ルートについて話し合う。
大ダオの登り返しを避け、大沼から流れている沢筋のルートを戻ることにした。
が、このルートは地図上には残っているが、あまり歩かれていないルートのようだ。
万が一、通れなくてもすぐ隣にりっぱな関東ふれあいの道があるので、それを歩けば良いと軽く考えていたのだが・・
鈴ヶ岳から大ダオまでは往路を戻り、大ダオで左に折れ、北回りルートに入る。




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北面に入るやいなやキク科の花が出迎えてくれ、気分はルンルンだ。 056.gif




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やがてシダの森となる。




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どんどん標高を下げて涸れ沢をトラバースする辺りは、日照の少ない北面らしく苔に覆われたしっとりした雰囲気の森となる。 043.gif




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鈴ヶ岳一帯は、 “鈴ヶ岳県自然環境保全地区(特別地区)” に指定されていて、ミズナラなどの自然林からなる優れた自然環境を維持している・・らしい。素晴らしい! 049.gif




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ひとしきり降ると関東ふれあいの道に飛び出る。左に行けば渋川市の赤城キャンプ場へ続く。 ここは右へ折れ大沼方面に進む。




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山腹を巻き降り木橋のかかる顕著な沢(沼尾川)に行き着く。 この沢の左岸にルートがあるわけなのだが、案の定あまり踏まれていない。 039.gif




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それでも行けるところまで沢筋に沿って上流に進んでみた。途中の木に古い赤テープが一カ所だけあった。渡渉して右岸に渡ったあたりまでは地図通りなのだが、右岸の踏み跡が消えてしまっている。沢歩きになってしまったので30分ほど歩いた辺りで引き返した。 070.gif




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木橋まで戻り、そのまま大沼まで関東ふれあいの道を行く。 始めはカラマツ林の中のなだらかな登り坂を行く。 そのうちに自然林に変わり、木段の急な登り坂となる。 予想外の急登に、大沼はまだかまだかと思いながら息を切らせて登ると、大沼の北側に連なる出張山~薬師岳~陣笠山への縦走路の分岐に着く。これらの山は他の外輪山とは異なり標高も低く地味な存在だ。大沼湖畔へは分岐を縦走路から外れて右に進む。 042.gif




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分岐からは、ほぼ水平移動の巻き路で建物の並ぶ舗装道路に出る。




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舗装道路を5分ほど東に行けば大沼湖畔の周遊道路に合流する。 ここからは舗装道路の歩きとなるので、ちょっとかったるいので、昔イタリアでよくやったヒッチハイクをやってみたら、1分もしないで車が捕まった。老夫婦の車にドライバーだけが同乗させてもらい新坂平のパーキングまで車を取りに行く。残りのメンバーは、歩いて青木旅館前で車を待ち、午後4時には帰路についた。




f0308721_21383983.jpg赤城山周辺のハイキングトレイルは、どこも良く整備されていて迷うことはない。 
今回は下山に余りにマイナーなルートを選んでしまったため、1時間ほど時間をロスしてしまった。
しかし、あくまで私の中では想定内のことであり、遭難レベルの遅れでは全くない。 
今回、途中で引き返した沼尾川沿いのルートは、ほぼ廃道のようだが、いつか機会があったら探索してみたいルートである。


このトレイルへの評価: 4★ 初級~中級者向け
行程距離: 約8km(新坂平パーキング‐鍬柄峠‐鍬柄山‐大ダオ‐鈴ヶ岳‐大ダオ‐関東ふれあいの道分岐‐出張山分岐 - 大沼北岸)
標高差: 約150m (累計高低差 約600m)
実動時間: 約7時間 (沼尾川沿いのルート探索、休憩込み)





【ハイキングパートナー選びについて思ったこと】
今回、同行メンバーの2人(ご夫婦)が下山後に用事があるとのことで、下山予定時間に遅れてしまったことに対して、1人のメンバー(Aさん)からひどくお叱りを受けた。
リーダーだからといってすべてのトレイルを知っている訳ではない。経験値のある登山者ならこの辺りの事情は分かってもらえるのだが、登山経験の浅いAさんは遭難でもしたかのようなパニック状態になってしまって、Aさんの取り乱しようにこちらのほうが驚いてしまった。
ちなみに、用事とは孫の保育園へのお迎えで、これも孫の母親(Aさんの娘)が行けるので、結局は母親が迎えに行った。
同ルート往復ではなく、ループトレイルに変更したのが悪いと責められ、リーダーであった私への怒りがとまらない様子で、この日を境に絶縁状態になってしまった。下山時間が少し遅れただけでここまで険悪なムードになるとは思ってもいなかったので、私も戸惑ってしまった。

Aさんとは過去にも何度か西上州などのもっと難しい岩山を登っており、多少のトラブルも私の機転で切り抜けてきたし、Aさんもここまでテンバる様子もなく着実に実力をつけていたと思っていたのだが、甘かった。
面倒を見てやったと思っていたのは、どうやら私の一人よがりだったようだ。最後は私のことを自分勝手で危険な人物とまで公に言っていた。
今後はケツカッチン(時間制限のある人)と、短気で冷静さに欠ける人、自分では努力もしないで、すべてリーダーに依存し、何かあればリーダーを責めるような人とは同行したくないと思った。
何が起こるかわからないのが登山やハイキングなどの自然を相手にする遊びである。100%のギャランティーをリーダーに求めるなら、この手の登山者はお金を払ってガイド登山をするべきだ。

また、今後は向上心と協調性の無い、ハイキングを始めたばかりのド素人とは同行しないと決めた。楽しいはずの、そして気分転換のはずのハイキングで嫌な思いをしたり、ストレスを感じるのでは本末転倒だからね。 生死を共にするクライミングのパートナー選びからみれば、ハイキングのパートナー選びはイージーだと思っていたが、これはこれで色々と人選が必要なようだ。2013年からハイキングを始め、こんなに気分の悪いハイキングは初めてだ。改めてパートナー選びの重要性を感じた。やれやれ疲れるね~

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by dream8sue | 2016-08-26 20:57 | 群馬県エリア | Trackback | Comments(0)

南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)     Nokogiri in Minami Alps

Tuesday, August 9, 2016
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最短ルートで鋸岳(南アルプス)の核心部を歩く角兵衛沢から熊穴沢のループトレイルは、まさに鋸岳の真髄を知るルートである。
鋸岳をループで登る場合、中ノ川乗越から第1高点(鋸岳)に向かう方が楽である。私たちが今回歩いた時計回りのルートは不利である。が、角兵衛沢出合でテント泊をすることで、軽荷で身体への負担を減らしスピードアップを図ることができた。
角兵衛沢出合までのアプローチ編はこちらから → “南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(前編)Nokogiri in Minami Alps NP”





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角兵衛沢出合のケルンから薄暗い樹林帯を行く。 踏み跡はしっかりしているが、夜明け前のヘッドライトの灯りだけでは踏み跡を探すのは難しい。私達も予定より30分ほど遅らせて4時45分にテント場をスタートした。 小尾根を越えるようにして “一合目” の手作りの小さな道標に出たら、右の踏み跡をトレースする。 左方向には、昔は寝木小屋沢を経て横岳峠に登る路があったようだ。(現在は廃道)




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しばらく樹林帯の登りが続き、やがて積み跡が判然としなくなると明るいガレ場に出る。ガレ場のケルンを目指し高度を上げていくと、右側に第二尾根から派生する大岩壁(角兵衛ノ大岩)が見えてくる。




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右側の尾根に登り、岩壁に沿って右に3分ほど(100mくらい?)行くと “大岩下の岩小屋” がある。オーバーハングした岩壁の割れ目から少量ではあるが水が涸れずに染み出ている。 周辺にはテントを3,4張れるスペースがある。 水場のおかげで、辺りは高山植物のお花畑になっている。 角兵衛沢出合からここまで約2時間30分。休憩するには最適な場所だ。  063.gif




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f0308721_2055343.jpg南アルプスの特徴として、夏に雨が多く、冬の積雪量は少ない。
よって森林限界の標高が高く稜線付近(2,700m付近)まで森に覆われている。
そのため植物も南アルプス国立公園にのみ分布する固有種がみられる。
その一種であるタカネビランジがちょうど満開であった。(写真上) 056.gif
私はこの花に会うのは、鳳凰三山ハイク以来2年ぶりの再会だ。
知っている花に出会うとまるで旧友にでも会ったみたいに嬉しくなるから不思議だね。 003.gif
他にも、ヒヨドリバナ、アキノキリンソウ、ホタルブクロ、ヤマハハコ、オヤマボクチ、オトギリソウ、ムラサキタカネアオヤギソウ(タカネシュロソウ)など多くの花が見られる。  056.gif




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岩小屋周辺の居心地の良さについつい長い休憩になってしまうが、まだまだ先は長いので先を急ごう。 角兵衛沢右俣に戻り、赤茶けた砕石の押し出しが延々と続くガレ場を角兵衛沢ノコルまで登る。 どこを歩いても足場が悪いが、岩壁の基部に沿って右側を行くと比較的登り易いだろう。 034.gif




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部分的な草つきやダケカンバが生えているが、ガレ場が途切れることはない。やがて、右岸(左側)にスフィンクス岩が見えてくる辺りになると、傾斜はさらに勾配を増す。 下部よりも砕石も細かくなり不安定で歩きづらくなってくる。 008.gif




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息を切らして登りながら時々振り返れば、戸台川を隔てて南アプルス林道が山腹にくっきりと見える。 その奥には中央アルプスも眺められる。 072.gif




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ガレ場を左にトラバースし、コルへ続く尾根の末端を廻り込む。




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いよいよ角兵衛沢ノコルまであと少しだ! この辺りは最高に傾斜がきつく前にもまして急登を強いられる。 安定しない足場をこらえながら、ほぼ四足になって登る。最後の踏ん張りどころだ。 042.gif
南アルプスは現在でも隆起が続いていて、その隆起速度は年間3~4mmという日本最速らしい。 当然、崩壊も多く、多雨な気候と相まってV字谷やこのような崩壊地が多いとのこと。 知らなかった!  005.gif




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岩壁とガレ場のわずかな隙間にオタカラコウやタカネヒゴダイ(写真左)、ウメバチソウなどが咲き、岩壁にへばりつくようにダイモンジソウ(写真右)が咲いていた。 056.gif




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大岩下の岩小屋から2時間強、待望の角兵衛沢ノコルに着く。 コルは露岩のある狭い鞍部である。 テントを張るなら1段下がった角兵衛沢側にギリギリ1張り可能なスペースがある。




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角兵衛沢ノコルの東側には三角点ピークがそびえている。




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第1高点へは角兵衛沢ノコルから右(西側)へ縦走路をたどり、ハイマツやナナカマドなどが生える垂直にちかい岩稜を登る。 071.gif




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ナナカマドの実かな? 早くもワインレッドに色づいているね。 043.gif




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岩稜をひと登りで小さな肩に出る。 眼下には先ほど息を切らして登ってきた角兵衛沢のガレ沢が広がっている。




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ろくに養土となる土など無いと思われる岩の上にも高山植物が根を下ろしている。 このイエローの花はイワインチンかな? 056.gif




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角兵衛沢ノコルから20分ほどで鋸岳最高峰の第1高点(2,685m)に着く。 トンガリピークなので眺望には優れている。




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第2高点を隔てて甲斐駒ヶ岳が悠然とそびえている。 その右奥には北岳の pyramidal な山容が素敵だ!




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右手には、 “南アルプスの女王” と呼ばれる仙丈岳が、穏やかで優雅な姿を見せている。




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北側に目を向ければ、八ヶ岳が雲を被り、その下には日向山の白い山肌が光っている。 噂には聞いていたが、日向山ってあんなに白いのか~ 一見の価値がありそうだ。 005.gif




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展望だけではなく、陽当たりの良い岩稜にはたくさんの高山植物が咲いているので足元にも目がいく。 こちらも久しぶりに見るトウヤクリンドウ(写真左)。




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さて、第1高点で展望を楽しんだ後は、第2高点を目指そう。 前方には第2高点がくっきりと見えているが、そこに至るまでの稜線が複雑な線をえがいている。 いよいよ鋸岳の核心部に突入だ。 070.gif




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岩稜のトレイルを行くと小ギャップの上に出る。 鞍部が見下ろせるので高度感がある。 狭い鞍部からは長野県側(南側)に崩壊したルンゼが切れ落ちている。




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小ギャップへは10mほどの垂壁をクサリを頼りに降りる。 逆層の垂壁で足場が悪く、クサリががセットされているとはいえ緊張する。 008.gif




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10mのクサリ場を小ギャップ鞍部から見上げる。




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小ギャップ鞍部からの登り返しも長いクサリ場である。 005.gif




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中間部が被り気味の岩場でパワーを要する。 上部でクサリが太くなり握りづらくなるので、左の草つきについた踏み跡へ逃げる。




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クサリ場を越えるとナイフリッジになるので、リッジ通しではなく北側の巻き路に進む。 071.gif




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巻き路から岩峰を廻り込んだところに鹿ノ窓(鹿穴)がある。この鹿ノ窓から第2高点までが最難所である。 008.gif




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鹿ノ窓をくぐって、60mはあろうかと思える長~いクサリの下降だ。 岩は逆層で、しかも脆く浮石だらけである。 トップがあらかじめ表面の浮石は払い落して下降したが、後続者の下降時には岩場の下に居てはいけない。できるだけ右岸の草つきに逃げて待機しよう。 034.gif




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さて、この後のルートファインディングが難しい。 鹿ノ窓から落ちているルンゼを降り、大ギャップから落ちている狭いルンゼへトラバースするのが正解ルートである。が、見た目には、 “この先は断崖で下りられません” と思わせるほどの険悪なルンゼを下る。 この辺りのルートファインディングが時計回りの難しさなのだと実感する。 第2高点からの方がルートを見つけやすいだろう。
また、鹿ノ窓から落ちているルンゼの途中から巻き路があるが、この巻き路は2つのルンゼの中間尾根へ続いていて、第3高点(中岳)への路である。第3高点に登っても大ギャップへはロープなどが無いと降りられないので通常は第3高点へは行かない。 034.gif




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鹿ノ窓から落ちるルンゼを、 “もう以上は降りられません” というところまで降り、ルンゼの中にある幅10㎝程度の岩バントを5mほどトラバースして、さらに中間尾根の末端壁に沿って大ギャップから落ちるルンゼへと降りる。
この中間尾根の末端へトラバースするルンゼの10㎝バンドが分かりづらい。全員の目を皿にしてこのポイントを探そう。 034.gif




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中間尾根の末端壁の右側は、落ちたらアウトの深い谷なのでトラバースは要注意だよ。 034.gif




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大ギャップから切れ落ちているルンゼ(ガレ沢)に降りたら右へトラバースする。




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ガレ場から右の尾根に登り、樹林帯に入って20分ほど登り返せば、第2高点の南西稜に這い上がる。 042.gif




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南西稜を左に少し登れば第2高点(2,675m)に着く。 第2高点のピークには錆びた剣が天を刺している。 その剣と同じくらい鋭い後方のピークが先ほどクサリの連続で登り下りした第1高点(鋸岳最高峰)である。第1高点から第2高点間の核心部に2時間30分を要した。
By the way, なぜ鋸岳だけピークを第1高点とか第2高点というのだろう? 通常は第1峰、2峰とか、西岳、東岳などと言うのにね。 039.gif




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さて、第2高点で最後の展望を楽しんだら熊穴沢右俣の下山ルートに進もう。 まず第2高点から中ノ川乗越へ下りるために甲斐駒ヶ岳への縦走路を東に行く。 第2高点のピークから東の小ギャップまで降り、そこから右へ岩稜と岩稜との間のガラ場を降る。




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f0308721_2130940.jpg踏み跡ははっきりしているが、相変わらず足場が不安定でつらいところだ。
しかし、ここは緑のルンゼでお花が一面を覆っている。 056.gif
ここで初めて見た花が、ミソガワソウ(写真上)だ。
写真左は、おなじみのマツムシソウだね。 056.gif




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中ノ川乗越が眼下に見えている。 山梨側(北側)には樹木が生えているが、南面の熊穴沢右俣は崩れ落ちた斜面で、角兵衛沢右俣同様にガレ場が続いている。
ちなみに、第2高点から西側の大ギャップ、鹿窓ルンゼ、小ギャップなどは熊穴沢の左俣源頭部になる。




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中ノ川乗越から右側の岩の墓場のようなガレ場を降る。 熊穴沢右俣は、角兵衛沢右俣に比べて幅も広く、足元の石も大きい。しかし、踏み跡など無いので石から石へ飛び石しながら降りる。 比較的大きな砕石なので安定はしているが、膝には悪そうだ。 008.gif




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振り返れば中ノ川乗越の大きなギャップが、もうあんなに遠くになっている。




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ガレ場を左寄りに降っていくと、やがてカラマツ林が現れるので、しばらくはカラマツ林の中を行く。 カラマツも根元まで砕石で埋まっていて痛々しい。 002.gif




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そして樹林帯に入ってしばらく行くと、ようやく砕石から解放される。 カラマツとシャクナゲのしっとりした森となり、膝にも優しいトレイルとなる。 ふぅ~・・やはりガレ場歩きは疲れるね。 042.gif




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第2高点から熊穴沢の下降に3時間30分を要し、ようやく熊穴沢出合の河原に出る。 
早朝に角兵衛沢出合をスタートしてから12時間が経過していた。 消耗した身体には戸台川の水が嬉しい。頭から水をかぶって互いの労をねぎらう。




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熊ノ沢の出合はこんなに狭く、沢というよりただの崖崩れにも見える。 この奥にあんなに大規模なガレ沢があるとは想像もつかない。




f0308721_21342055.jpg熊穴沢出合からテントを張った角兵衛沢出合までは、戸台川を渡渉して左岸の路を行く。
20分ほど下流に歩けば角兵衛沢入口に着く。
今宵も角兵衛沢出合に泊まることにする。
角兵衛沢出合から戸台への下山は、アプロート編と同じルートなので、そちらを確認してください。 040.gif 043.gif





f0308721_21353765.jpg鋸岳の縦走路は複雑な地形の岩場なので、ハイキングマップだけでは対応できないものがある。
そして、ルートファインディングもさることながら、ザレ場の急登や脆い岩場での対処能力が試されるルートだ。
まさしく上級ハイカー向けのルートである。
初級者だけでは行かない方が良いだろう。 034.gif
久しぶりに手ごたえのあるトレイル歩きだった。

私のこのトレイルへの評価: 4★ 上級者向け
行程距離: 約6.5km(角兵衛沢出合‐大岩下の岩小屋‐角兵衛沢ノコル‐第1高点‐第2高点‐中ノ川乗越‐熊穴沢出合 - 角兵衛沢出合)
標高差: 約1,365m
実動時間: 約13 時間(休憩込み)

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by dream8sue | 2016-08-09 20:47 | 南アルプス 国立公園 | Trackback | Comments(10)

南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(前編)     Nokogiri in Minami Alps

Monday, August 8, 2016
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初心者入山禁止、危険マーク付きの鋸岳にハイキング上級者メンバーで行ってきた。 その上級者たちをもってしてもルートファインディングに悩む個所あり、クサリはセットされているものの落石ロシアンルーレットのような鹿穴ルンゼ、足元からグズグズに崩れ落ちる石の墓場のような砕石帯など手ごわい縦走路であった。 008.gif

鋸岳へのアプローチはいくつか考えられる。 昔ながらの戸台川の河原を歩くルート、北側の釜無川源流からのルート、甲斐駒ヶ岳から縦走するロングルートなど。 そんな中で、鋸岳の核心部である第1高点~第2高点を最短で歩く直登ルートともいえる角兵衛沢から熊穴沢のループトレイルは、まさに鋸岳の真髄を知るルートである。 045.gif

まずは、アプローチ編(入山と下山日のルート)として、戸台から角兵衛沢出合までの戸台川の河原歩きの様子である。 035.gif 070.gif




f0308721_637281.jpg<マイカーの場合>
マイカーの場合は、中央自動車道諏訪ICから国道152号を南下して美和湖の南端の三叉路を左折する。
約2kmで南アルプス林道バス営業所(バス停:仙流荘)を左手に見る。
営業所から4kmほど走ると戸台大橋バス停があり、さらにその先1kmほど走った二俣を右に行き小黒川を渡る。
橋本山荘などの前を通り河原に降りて行くと広いパーキング(無料)がある。
パーキングの入口には登山案内の看板がたくさん立て掛けられた小屋(無人)がある。




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河原パーキングに着いて目に飛び込んできたのは、戸台川の上流に悠然とそびえる甲斐駒ヶ岳の雄姿だ。
私は2002年の正月にアイスクライミングで戸台川上流にある “舞鶴の滝” を登りにこの河原を歩いているのだが、冬と夏の違いもあるが全く記憶にない。とにかく長い河原歩きだったという記憶だけだ。 008.gif 003.gif




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そして、目の前の荒れた河原を覆っていたのがこのフサフジウツギ、属名ブッドレア(ブッドレヤ)と言う中国原産の帰化植物だ。樹高は3m以上あると思われる大きさで、パープル色の花穂を放射線状に出していて、とてもボリューム感がある。この帰化植物は戸台川のけっこう上流まで侵食している。 005.gif




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南アルプス林道が開通される前は、(長野県側からの場合)このルートから北沢峠を目指したという昔ながらのルートである。が、昭和の時代に襲った台風で登山道は崩壊されたままなので、現在はほとんど河原歩きとなる。 河原はどこでも歩けるが、少しでも効率よく歩く為に、有るような無いような踏み跡をトレースする。 070.gif




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やがて踏み跡も消え何度か渡渉を強いられる。 場所によっては靴を脱いで渡渉する個所もある。河原の中洲に橋桁のような構築物があり不思議に思うが、以前は吊り橋があったらしいので、その残骸のようだ。
渡渉後、河原から右岸(注意:川の下流を向いて右側が右岸、左側が左岸である)の林道に這い上がり、廃屋の人家を高みの林の中に見て、そのまま右岸の林道を白岩の堤防まで進む。 071.gif




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河原や林道にはフサフジウツギ以外にも、センニンソウ、クサボタンやマツヨイグサなどの花々が咲きほこっていた。 甘い香りをあたりに拡散している大木はクサギ(写真左)だ。 枝からインゲン豆のような実を垂れ下げているツタ植物はフジの木だ。春にパープルの花を咲かせるフジは見たことがあるが実を見るのは初めてだ。
フジの花といえば、今春に訪れた日光国立公園で庚申山の林道のフジの花は見事だったな~ → “日光 庚申山 奇岩がいっぱいのお山巡り   Kōshinzan in Nikkō National Park”





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さて、植物観賞しながら、渡渉を含む河原歩きを1時間ほどこなすと左岸に白岩の大岩壁が見えてくる。




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そして、程なく白岩の堤防に着く。 042.gif




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堤防を右岸から越え、再び河原に降りて、有るような無いような踏み跡を追う。 070.gif




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やがてビューポインの堤防が現れる。 スカイラインに浮かぶ甲斐駒ヶ岳の手前には、鋸岳の第一尾根、第二尾根と思われる尾根が張り出している。 ビューポインの堤防を過ぎると、残存している昔の登山道にそって赤テープなどを探しながら川の左岸を行く。




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左岸のトレイルではキブシの実?が山ブドウの様に房になって垂れ下がっていた。春には黄金色の花をよく見かけたが、これまた実を見るのは初めてだ。




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赤テープなどに導かれていくと、ケルンや赤ペンキのサインなども出てきて、判然としなかった踏み跡はしだいに1本に統一されてくる。




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相変わらずフサフジウツギは多いが、他にもヌスビトハギの可愛い花や、野イチゴの木などがあり、熟した甘い野イチゴに舌鼓をうちながら歩いた。011.gif 
写真の大葉は、日本産のアザミの中では最も大きいというフジアザミ。 富士山周辺に多い分布していることから “富士アザミ” と命名されたようだ。 027.gif 056.gif




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白岩堤防から歩くこと約1時間30分、河原から離れて、しっとりとした森に入って行く。




f0308721_650189.jpg森に入ってすぐに苔生した美しい林床を見ると、 “角兵衛沢入口” の標識が現れる。
角兵衛沢出合は対岸にあり、樹木が茂っているので、この標識が無ければ、分からなかっただろう。
ちなみに、下山ルートの熊穴沢出合は、この上流の次の出合い(角兵衛沢入口から10分程)である。




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そして、対岸の角兵衛沢出合へは、再び靴を脱いでの渡渉となる。 川を渡ったところが今夜のキャンプサイトであるが、気を抜いてはいけない。 この河原の石はメチャ滑る。 008.gif 私は、裸足でも見事に滑って尻もちをついた。 007.gif Be careful!!! 034.gif




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テントサイトには、大きなケルンが積まれている。 鹿の骸骨も置かれている。005.gif ここは小さなテントなら5,6張は張れるだろう。 034.gif




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川岸から見上げる鋸岳には、大崩壊の赤茶けた斜面が見える。 いよいよ明日は、あの大崩壊を登るのか~! 043.gif 060.gif
本編である、兵衛沢から熊穴沢のループトレイルの様子はこちらから → “南アルプス 鋸岳の真髄を知る直登ルート角兵衛沢から熊穴沢(後編)”




f0308721_6531657.jpg角兵衛沢出合までのアプローチルートとして、地元ガイドが南アルプス林道の “歌宿” や丹渓新道からのバリエーションルートを紹介していたので、その方法も一考かと思った。
が、今回はメンバー全員が初めてのエリアということもあり、セオリー通りに河原歩きルートとなった。
入山、下山に各半日を要し、関東からマイカーでのアクセスと合わせて鋸岳のみに3日間を費やすことになった。
結果的には、バスの時間を気にしないですむこのルートで良かったかもしれない。


私のこのトレイルへの評価: 4★ 上級者向け
行程距離: 約5.5km(戸台の河原パーキング‐白岩堤防‐角兵衛沢出合)
標高差: 約270m
実動時間: 約3時間 (休憩込み) /下山時は同ルートで2.5時間

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by dream8sue | 2016-08-08 06:32 | 南アルプス 国立公園 | Trackback | Comments(0)