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奥秩父 両神山の失われた路から狩倉岳へ     Karikuradake in Chichibu-Tama-Kai National Park

Friday, May 5, 2017
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奥秩父の両神山の支尾根である狩倉尾根には、横八丁と呼ばれる岩稜や狩倉槍ヶ岳といった鋭鋒が狩倉岳(狩倉山)まで続いている。 今回は、その狩倉尾根をメインに歩いたのだが、狩倉尾根に至るまでの石舟沢ルート(廃道)や、狩倉尾根から南西に伸びる尾根の下降も結構手ごわいものであった。 

注意)最近、Web上のブログを読んで両神山塊のバリエーションルートに入って遭難する人が増えているそうです。 このルートは一般ルートではないので、一般ハイカーは必ず経験者(読図や登攀のできるレベル)と同行してください。  




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<マイカーの場合>
両神山の南面に入るので、国道140号線(彩甲斐街道)でアクセスする。 雁坂トンネルの手前で右折して県道210号線に入る。 中津川渓谷にそって県道を8kmほど走ると “持桶トンネル” がある。 このトンネルの前後に旧道(現在は通行不可)がある。 登山口の長栄橋はこの旧道を入った所にある。
私達は休日だったので、持桶トンネルを抜けた所の旧道脇に車を止めたが、ウィークデイは落石工事現場なのでパーキングは避けたほうが良いだろう。 持桶トンネルの少し手前に “女郎もみじ” の観光パーキングがありトイレなどもあるのでそちらを利用することをお勧めする。 





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旧道の落石現場を越えて、長栄橋の登山口から石舟川沿いに廃道を行く。  繰り返し記載するが、このルートは廃道で入山禁止となっているので、入山する場合は自己責任であることを肝に銘じてください。
それにしても、落石の大きさには驚いた。 自然の猛威というより、人間が勝手に開発したことによる代償だね。 




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私達は、その自然が自然としてあるべき姿へ戻ろうとするパワーを石舟沢ルート(廃道)でも思い知るのだった。




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山腹に架けられた桟橋はことごとく朽ち果て、足場の悪い斜面を両手両足を使ってトラバースする個所がいくつもある。




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左に藤十郎沢の出合いをみて、さらに石舟沢本流を行く。 斜面の崩壊個所も多く、いつ崩れてきてもおかしくない場所を迅速に横切る。 これも人間が勝手に植林して、勝手に伐採したツケなのだろう。




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予想はしていたが、かつての登山道の面影はなくなり、踏み跡は沢へと吸収され、完全な沢登りとなる。




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でも、沢の水は澄んで美しい。 荒れた沢にもヒトリシズカやネコノメソウなどの花は当然のように咲いている。 




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石舟沢の二俣に近づくと、ポポ、ポポ、ポポ、と機械的な音が聞こえてくる。 何だろう? 隠された国家の機密基地に侵入した私達を警戒する電波か? いやいや、同行者が後で調べたらツツドリという中型の鳥の鳴き声だった。 知らなかった!




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そうこうしているうちに二俣到着。 ルートは右俣方向だが、左俣を少し入った場所に “石舟” という滑滝があるので立ち寄ることにした。 石灰岩がえぐれて深いトイ状になった沢床が舟底のようなので石舟の名がついたらしい。 写真は下流から見た石舟。
両神山が創り出した奇岩として知る人ぞ知る奇勝らしいが、カリフォルニアでスケールの大きな滝をいくつも見てきた私にはそれほどの感動はない。 
カリフォルニアの滝に興味がある方はこちらから→ “キッチンはドライアウト Kitchen Creek Falls in Cleveland National Forest”
USA 滝を見るトレイル( 30 )




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石舟の左側(右岸)には大きな岩壁があり、基部には入口の狭い鍾乳洞がある。 
現在はケイビングは禁止のようだが、かつては行われていたようだ。




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石舟の上を流れる水は無い。 横から見た石舟。 




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さて、石舟見物が終わったら二股に戻って、石舟沢右俣を詰める。 こちらにも石灰岩の大きな涸れ滝があるので右岸(滝に向かって左側)の尾根から高巻く。




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梵天尾根の稜線はまだまだ高い。 二俣から約500mの高度差を登らなくてはならない。 




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やがて沢が三俣に分かれる。 このあたりになると地形が緩やかになり、どのラインを詰めれば良いのかルートが判然としなくなる。 




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おや?何かがこちらを見ていたようだ! 何?何?この子は何者? “オイラの縄張りに無断で入る侵入者は誰だ!” って感じで警戒しているのかな?  私たちは決して好戦的ではないから安心して・・ちょっとだけ通らせてね。




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大峠へは三俣周辺から右方向の尾根に這い上がるのが良さそうだが、沢を詰めすぎてしまったようだ。 急峻な岩盤の斜面に囲まれてしまったので左方向(右岸)の樹木が多く生えて登り易そうな尾根を詰めることにする。(尾根の途中にビール瓶が転がっていた) しかし、この尾根も最後は岩峰になる。 




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岩峰基部を左に巻いて岩峰の北側コルに達し、さらに左に続く尾根(岩場)を木登り混じりに乗越して梵天尾根上に乗る。 入山から4時間30分もかかってしまい、沢登りを1本登ったような結構な充実感がある。  北側にはミヨシ岩や、これから行く横八丁の岩稜帯が見える。 “本番はこれからなんだよな~” と、心の声。




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梵天尾根から狩倉尾根の分岐(大笹)まではさらに1時間以上かかる。 石舟沢の廃道に比べればはるかに歩き易いトレイルではあるが、 明瞭な踏み跡ばかりではないので時々ルートを見失う。 濡れたクサリ場を慎重に降ったコルは明るい広葉樹林に囲まれている。 ここがヒゴノタワかな?




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ヒゴノタワから横八丁との分岐まで標高差約250mの登りとなる。 この250mが実にきつい! 




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梵天尾根を250m登りきって、そのまま北に行けば両神山であるが、アセビの生えた左の尾根(狩倉尾根)に進む。 いきなり木の根の張り出した急登を登ると1,683mピークがあり横八丁から狩倉岳の岩稜が現れる。 




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北側には谷を挟んで、赤岩尾根などの群馬県との県境稜線が続いている。 
→ “奥秩父 赤岩尾根は2つの峠を繋ぐ岩稜縦走     Akaiwaone in Chichibu-Tama-Kai NP”




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1,683mピークの下りでヤセ尾根の岩峰の上にでる。 左右が切れ落ちているのでフリーでは降りられない。 右側(北側)の岩峰基部へ約15mのラッペルをする。




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そして、岩稜に這い上がると、いよいよ蟻の塔渡りの様な横八丁の岩稜帯である。 途中には、裏妙義の西大星にあった “お坊さん岩” のような形のボルダーもあり、それらの岩場を縫うように進む。
→ “安中市松井田町 妙義山 西大星直登ルート     Nishitaisei in Mount Myōgi, Gunma”




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横八丁を過ぎると狩倉槍ヶ岳が間近に迫ってくる。 中央の針峰が狩倉槍ヶ岳で、右奥が狩倉岳(狩倉山)である。




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いったいどこを登るのか? と思われる狩倉槍ヶ岳であるが、北側の樹林の中の踏み跡を追えば、小さなケルンが置かれただけのピークに着く。 
狩倉尾根に入ってからちょうど1時間くらいだ。




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南面は、登ってきた石舟沢などのある深い谷が広がる。




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アカヤシオもこの標高ではまだ蕾である。




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狩倉槍ヶ岳の西側には狩倉岳(1,625m) の主峰がデンと構えている。 鞍部に下降してからの登り返しがしんどそうだ。 




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狩倉槍ヶ岳から狩倉岳のコルを目指して下降する。 岩稜伝いに行き、コル近くでは、Ⅲ級くらいの岩場をクライミングダウンする。




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コルから狩倉岳までは針葉樹林の中の長い登り坂が続く。 
朝からの疲れも出る時間で、この登りは結構きつかった。
山頂と思っていたピークは偽物で、その先のアセビの生えたピークが狩倉岳である。
狩倉槍ヶ岳から1時間以上かかった。
山名板も何も無く、展望も良くないピークであるが、険しい岩稜帯も終わったので、一休みしてから下降に取りかかろう。




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狩倉岳からは、顕著な南西の尾根を降る。 アカヤシオの群落が続き疲れた身体には嬉しい。




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狩倉岳から1時間ほど下降すると1,435mピークと思われる藪山が行く手に現れる。 踏み跡もなく急傾斜のピークなので、左の山腹を巻くことにする。




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しかし、この1,435mピークの巻きもザレザレの斜面に落ち葉っが乗っていて、結構悪いトラバースである。




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1,435mピークから南尾根を30分くらい降ると1,341mピークに着く。 北側の木立の間から、槍ヶ岳と狩倉岳が見える。 少しずつ標高を下げていたが、本当の下降はこれからだった。




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1,341mから左方向(南東)に大きく進路を変える。 さらに勾配を増した尾根は踏ん張りがきかず落ち葉と共に滑るように降る。 1,133m付近まで降りてくると一旦緩やかな広葉樹の窪地のようになり、ルート取りが判然としなくなる。




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1,133mからは右方向に行きたかったが、急な岩盤帯なので左方向へ進み、沢(藤十郎沢の支流)へ降りることにする。 この時点で尾根路を外す。




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藤十郎沢の支流はほとんど水流がなく、不安定な石が多く歩きづらい。




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支流から水流のある藤十郎沢本流に合流し、さらに下流を目指す。 大きな滝も無く本流(石舟沢)へ合流できるかと思いきや、出合い直前でクライミングダウン不可能な大滝が現れる。 仕方なく夕闇が迫る中、ラッペルでこの滝を下降し、石舟沢に合流した。 しばらく石舟沢の沢歩きをしてから往路で通った山腹の廃道に這い上がる。 廃道歩きの途中で完全に日が暮れ、ヘッドライトで壊れた桟橋などを歩くはめになり最後まで気が抜けない山行だった。

私は体力任せで登る山よりも技と頭で登る山が好きだ。 でも、さすがに体力無しではこのルートは登れない。 たった10km程度の距離であるが、沢登りや岩稜歩きの経験、確かな読図で地形を見極める技が無いと手ごわいルートだと思う。  

本ルートのマップ:yahoo! Map
私のこのトレイルへの評価: 4★ 上級者向け
行程距離: 約10km(長栄橋‐石舟沢‐梵天尾根‐横八丁‐狩倉岳‐1435mピーク‐1341mピーク‐藤十郎沢‐石舟沢∸長栄橋)
標高差: 約900m
実動時間: 約14時間 (長栄橋‐大笹 約6時間、 狩倉尾根縦走 約2時間、 狩倉岳∸長栄橋 約5時間、休憩&石舟見物 約1時間込み)

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by dream8sue | 2017-05-05 20:34 | 秩父多摩甲斐 国立公園 | Comments(7)