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小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama

Sunday, December 6, 2015
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紅葉は終わってしまった12月初旬、せめて岩場のスリルを楽しめるルートとしてニ子山の稜線歩きに行ってきた。 070.gif

二子山は、石灰岩の岩峰で西岳(1,165.8m)と東岳(1,122m)から成る双耳峰である。岩峰ということで昔からロック・クライミングのゲレンデであった。また、岩峰基部は最大斜度135度というオーバーハングを有し、1980年代のフリー・クライミングブームからは日本を代表するフリー・クライミングエリアとしても人気が高い。

私も現役クライマーだった頃には毎週のように通った場所であるが、最後に訪れたのはいつだったか思い出すこともできない。年数以上にとても遠い記憶のような気がする。 039.gif




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小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama_f0308721_18295967.jpg<マイカーの場合>群馬県側からは462号線(十石峠街道)で神流町に入り、神流町役場から約4.5kmほど西にある “青梨集落” から股峠に通じる林道に入る。林道はカーブの続く急な道で、途中で合流する2つの分岐は、どちらも右折すればニ子山の北側にある股峠登山口に着く。青梨集落から約9kmほどの距離である。

10台ほどのパーキングはすぐにいっぱいになってしまい、路肩駐車の列ができる。この時期のこの光景は昔とまったく同じである。なぜならば、石灰岩の岩場なので春から夏は岩からの染み出しが多くクライミングに適さない。岩が乾く秋から冬にかけてがニ子山のクライミングシーズンなのだ。 049.gif




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登山口から双峰の股にあたる股峠へは10分もかからないで着く。このあたりはニリンソウの群生地らしい。知らなかった!

股峠は十字路で左は東岳へ、右は西岳へ、直進(南側)すれば昔からの登山口がある坂本方面へ続く。




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まずは股峠から東岳を目指す。ガレた急斜面を登る。

ハイカーよりもクライマーの方が多い時期なので、パーキングの混雑ぶりほどハイキングトレイルは混まないだろう。ただ、トレイルすべてがヤセ尾根なので団体パーティーと出くわすとすれ違いが大変だ。 009.gif




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樹林帯からすぐに岩場の登りとなり、足場の悪い岩場にはクサリと人工スタンスが設置させている。




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岩場を登り切ると、西岳の岩峰が眼前にそびえる。西岳は東西に長い岩稜を有する岩山で東峰、主峰、西峰という3つのピークがある。見えているピークは東峰である。上級コースと呼ばれるルートは、この側壁の中を登るようだ。 005.gif




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まずは東岳であるが、東岳ピークまでは岩稜の北側についた踏み跡をたどる。




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小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama_f0308721_18335514.jpg20分も岩稜帯を行けば、新しい山名プレートが掛かった東岳ピークに着く。




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東岳ピークの東端の岩頭からは西上州や奥秩父の山々、遠方には関東平野、筑波山なんかも確認できる。 072.gif




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北側の西上州方面の景色 072.gif




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南側の奥秩父方面の景色。トンガリピークがいっぱい!両神山赤岩尾根大ナゲシ、大山、天丸山、帳付山諏訪山、遠くに見えるのは御座山あたりかな?

さて、東岳で展望を楽しんだら、一旦股峠に戻り西岳へ登ろう。岩場の事故は登りよりも降りで多発している。下降は慎重にね。 034.gif




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小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama_f0308721_18405671.jpg股峠から西岳へ向かう。スギ林のトレイルから左の自然林へ進む。落葉で埋もれた踏み跡は見失い易いので気をつけよう。 034.gif

岩場が近づくと上級コースの案内板がある。 “危険を感じたら引き返す勇気を” って書いてあった。この看板を書いた人は、クライマーではない気がする。

Facebookで誰かがつぶやいていた “引き返すのに勇気はいらない” と。同感だ。それって勇気なのか?っていつも思っていた。登り続けるほうがよほど勇気がいるよ。って思うのは私だけ? 041.gif

続いて上級コースにあったクサリを撤去した理由が書かれた看板がある。善意で私財をかけてクサリを設置したが不評に付き撤去したらしい。何だかお気の毒なことで。 003.gif 040.gif




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その上級コースと呼ばれている岩場の取付きはここから。 009.gif




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う~ん、確かに傾斜はある。でも、ホールドもスタンスもしっかりしているので、上級者と呼ばれるハイカーなら登れるだろう。岩登りグレードでⅢ級程度だ。さあ、ここで問題は、自分が上級ハイカーなのか否かの判定だ。これも自己申告、そして完全自己責任だということを肝に銘じよう。 034.gif

クサリがあろうが無かろうが、こんな危険な岩場を登る時点ですべて自己責任だよ。それは仮に行政が設置したクサリを使って、クサリが切れたとしても、クサリなんぞに命を託したハイカー各自の責任だと思う。

私はいつも、 “このクサリは切れるかもしれない” と思いながら、クサリは補助程度と考えて登っているよ。 “弁当と命は自分持ち” って先輩から教わりませんでしたか? あ、最近はガイドにお金を払って命を守ってもらう人ばかりだから、何かあればカイドを訴えればいいのか~、でも、ガイドも人間だからね~。。3Dのエベレスト観たでしょう? カイドも自然の前では無力だよ。 044.gif 045.gif




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小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama_f0308721_18442356.jpgしかし、自己責任ではあるが、Sueスーの背中がスースーするような高度感を背中に感じる。って、スーを連発してる場合ではない! 008.gif 041.gif

ずいぶんと長いな~って感じるけど、たった50mだ。そう、ロープ1本分よ。クライマーはロープ1本分を1ピッチという。1ピッチをフリーソロしているようなものだ。そしてそのラインはこんな感じかな?⇒(写真右)




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四足歩行は50mで終り、上級コースの上部は傾斜も緩み二足歩きとなる。振り向けば東岳がすでに眼下になっている。




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そして、西岳の東峰に立つ。右のほうには西岳主峰と、そのきれ落ちた絶壁が目線の先に広がっている。 072.gif

東峰の南の絶壁が “ニ子山西岳中央稜” と呼ばれるロック・クライミングのルートである。私も数十年前の岩登り初心者の頃、マルチクライミングのデビューはこの中央稜であった。 039.gif




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主峰へ向かう稜線から左下を見下ろせば、ローソク岩があんなに低く見えている。




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稜線歩きは、まさに空中散歩の気分。 060.gif




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岩頭を右に左に巻いて進む。平気な顔して岩壁をトラバースしているけど、踏み跡の幅は1mも無いよ~!




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西岳主峰には立派な標識と、三角点がある。四角なのに三角点とはこれいかに? 041.gif




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主峰から西峰へ向かうナイフリッジ。 005.gif 025.gif




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紅葉はすっかり終っているが、枯木をまとった岩稜も、岩がむき出しになって迫力があり悪くない。 043.gif




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逆層スラブのナイフリッジを行く。 070.gif 060.gif




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西峰を通過し、下降点へ向かう岩稜帯。視界の先には、叶山の石灰岩採石場の哀れな姿が見える・・なんて感傷的な表現をしてしまったが、セメントの原料である石灰岩はダムや橋や道路になって私達の生活に溶け込んでいる訳だから、有難く使わせていただこう。 040.gif
自然破壊を肯定している訳ではないが、(むしろ私は自然愛好家と自負している)文明の恩恵にあずかっていながら、単純に自然破壊を嘆くのは、人間のエゴではないかと思う。 039.gif




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大きなギャップを下ったところにクサリがかかっている。南面への下降点である。

写真で見るとたいしたことがないように見えるが、実際は垂壁でスタンスが少なく、着地点までが遠い。でも人工スタンスがここにも打ってあるので助かる。 040.gif




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クサリ場から、ガレた斜面を下りきれば、大岩のある樹林帯にでる。

ここからハイキングトレイルは、南の魚尾道(よのおみち)峠まで降ってから東に登り返すようなので、魚尾道方面には行かず、すぐ左の踏み跡を追う。西岳の岩壁基部をトラバースする、いわゆるクライマー路というものだ。ハイキングトレイルほどしっかりした踏み跡ではないが、赤テープもたくさんありローソク岩まで導いてくれる。




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クライマー路を10分ほど東に進むとローソク岩に着く。見上げれば西岳の南面岩壁が屏風のように頭上に広がっている。 005.gif




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ローソク岩からさらに下り、中央稜取付(赤いドラム缶があった)を通り、スギ林を過ぎる。 機会があったら死ぬまでに、初心者当時に登った中央稜を登ってみたいな~ 045.gif

スギ林を抜けると、祠があるから “祠エリア” と呼ばれているフリークライマー御用達エリアに着く。懐かしい場所だな~。
しかし・・若いクライマーがいない!中高年クライマーばかりだ。最近の若者はボルダー専門でロープを使うクライミングをする若者は少ないようだ。

リスクの多いアルパインクライミングに熱い想いをたぎらせ、お手軽なスポーツクライミング全盛期を苦々しい気持ちで過ごしてきた私としては、そのスポーツクライミングでさえ高齢化となり、若者はもっとお手軽な(ロープやデバイス不要の)ボルダー全盛期になっている現状は実に複雑な心境である。これも時代なのかな~ 002.gif

祠エリアから股峠までは5分の登り、さらに5分で登山口のパーキングまで戻れる。




小鹿野町 二子山上級コースから空中散歩     Mount Futago in Ogano, Saitama_f0308721_18524018.jpg体力的には楽であるが、終始岩場の登り降りのナイフリッジなので、緊張感の続くハイキングとなる。特に風の強い日のナイフリッジや、降水直後は石灰岩は非常に滑り易い岩質なので注意してほしい。 034.gif

山頂はもとより稜線からの展望も素晴らしい。岩場好きなハイカーならこの時期でも十分楽しめる。むしろ樹木が枯れていて高度感が増して良い。 049.gif

Additional な楽しみを求めるなら、やはりカタクリやニリンソウが咲く4月中~下旬、ヤシオツツジの4月中旬~5月中旬、秋の紅葉時期がお勧めだ。 049.gif



私のこのトレイルへの評価: 5★ 上級者向け

行程距離: 約3km(藤倉登山口‐股峠‐東岳‐上級コースから西岳‐ローソク岩‐祠エリア‐股峠‐藤倉登山口)

標高差: 約200m

実動時間: 約4.5時間 (休憩込み)




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by dream8sue | 2015-12-06 18:24 | 埼玉県エリア | Comments(0)
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