足利市 小さな春をみつけに赤雪山から仙人ヶ岳を歩く Mount Senningatake in Ashikaga, Tochigi

Sunday, March 24, 2024

2018年に栃木県足利市にある　仙人ヶ岳　を登った時に東へ延びる　赤雪山　への稜線が気になった。
が、　“あえて行く程の山でも無いかな～”　と思い、いつしか、その存在を忘れていた。　

3月下旬のなごり雪が降った翌日　“そうだ、赤雪山があったな～”　と思いたち急遽でかけることした。
当初は松田川ダムからLoopコースを考えていたが、沢コースに　ハナネコノメソウ　が咲いているという情報を得て Point to point コースに変更。



＜アクセス：自動車の場合＞

足利市松田町の　松田川ダム（まつだ湖）　をターゲットする。　
現在、松田川ダムの下流は栃木県並びに足利市による整備事業で親水公園としてオートキャンプ場（松田川ダムふれあい広場）などに利用されている。

赤雪山のパーキングへは、親水公園からダムサイトへの道を2kmほど上ると　赤雪山ハイキングコース入口　の案内板がある。
そこをやや鋭角に右折して坂を上りつめると展望台が設置された広い駐車場がある。（公衆トイレ無し）



松田川ダム（まつだ湖） に寄ってみると・・ダム湖なのに渦潮が発生？！ 　
・・と思ったら、間欠式空気揚水筒という水質浄化設備でダムの水を循環させているそうだ。 　
こうすることで、低層の酸素欠乏を解消して魚が棲める水域を増やしたり、アオコの発生を抑制したりできるらしい。
美味しい水の供水へのひと工夫だね。　こんなダムがあるなんて知らなかった！ 　



さて、赤雪山へは尾根コースが一般的であるが、私たちはパーキングから右の沢（尾根の東側を流れる沢）を登った。
が、橋と言う橋は朽ち果てて倒木だらけの路で、とてもハイキングトレイルとは思えないコンディション。 　
後で知ったのだが、このルートは2014年の大雪で崩壊していたらしい。 　



倒木を避けたり、くぐったりしながら荒れたトレイルを登って行き、やがてスイッチバックの急登となり赤雪山の東尾根（松田川ダム分岐）に登り着く。
この分岐を右に行けば、天然記念物の　名草の巨石群　がある。（下記の【おまけ】を参照のこと）



赤雪山までは分岐を左に東尾根を標高差で約80mほど登る。　山頂直下は落葉樹の明るい尾根となる。



小さな春みっけ！　　今年初めて見るスミレ　　春だな～　



赤雪山（620m）　なんて、ちょっと素敵な山名だと思っていたら、実は侍が追手に追われて負傷し、あたり一面の雪が血で染まったことが由来だとか？　　



赤雪山ピークからは南側の展望が開けている。　遠くの山稜は秩父方面かな？



赤雪山で休憩した後は、いよいよ仙人ヶ岳に向けての稜線歩きとなる。　
歩き始めてすぐに雑木林の中に　アカマツ　の植生が多いことに気づくだろう。



赤雪山から起伏の小さな尾根路を20分ほど歩いて　皆沢分岐、　そこから10分ほどで　原仁田ノ頭　に着く。



原仁田ノ頭を過ぎると、いちだんと立派な枝ぶりをした　アカマツ　の樹木がみられるようになる。



その枝ぶりのバックに日光方面の山々が姿をみせる。



マツの額縁に入った山は、これから向かう三角山。



西には仙人ヶ岳。



トレイルはザレた岩場の急な下りとなるのでスリップに注意しながら歩く。 　
見事な枝ぶりのマツの木が多く、まさに松並木尾根のようだ。



小さなアップダウンが続き、苔むした小さな石祠のある小ピークを越えれば、その先が　三角山（623m）　である。
遠くから見る三角山は顕著な山であるが、そのピークは見晴らしの悪いパッとしないピークなので、休むことなくさっさと通過する。



三角山からは進路を南に進む。　振り返って見る三角山は、前からみても後ろから見ても三角だ。 　　三角山は見る山だね。 　



三角山から1kmほどで　後仙人ヶ岳　であるが、山頂部分は巻き路になってしまうので、ここは岩場を直登した方が早い。 　



後仙人ヶ岳（652m）　から見える山は　赤城山　かな？



後仙人ヶ岳を越えれば、赤雪山と仙人ヶ岳の分岐は近い。　

ちなみに、分岐に登り上げる最後の急登の手前には、松田川ダムに通じる　野山林道　を示す手製の案内板がある。
地図に載っていない一般的ではないトレイルであるが、松田川の源流部に食い込んだ林道に興味をそそられるのは私だけ？



赤雪山仙人ヶ岳分岐　からは広いビクトリーロードを200mほど行けば　仙人ヶ岳（663m）　に着く。

ところで、ピークに置かれた「県境に高くそびえる仙人ヶ岳」の看板は、群馬県桐生市菱町の歴史や文化を詠んだ「菱町かるた」という郷土カルタのものである。
確かに、仙人ヶ岳は栃木県と群馬県の県境に跨る山だけど、本家本元の「上毛かるた」の“け”は「県都前橋 生糸（いと）の街」だよね？　



さて、そんなことはさておき、下山コースは　赤雪山仙人ヶ岳の分岐　から南東尾根をしばらく降って・・



熊の分岐　で尾根路から分かれて右の沢ルートに降る。



フィックスロープの張られた急な斜面を慎重に降り、広々とした沢の源頭に降り立つ。



沢コースにしては、よく踏まれた歩きやすいトレイルをしばらく降って行くと、だんだんと沢筋が狭くなってきて、所々で岸をヘツリようになる。



沢に降りて30分ほど歩くと、右岸より支流が合流するあたりに　マンガン鉱山の跡　が現れる。



よく見れば、沢筋の上の山腹にも網に覆われた坑道がいくつもみられる。　
マンガンって、今はほとんど輸入なんだね～知らなかった！　



マンガン鉱山の跡　から300mくらい下流に　生不動（岩切生満不動尊）　がある。



生不動を過ぎたあたりから　ハナネコノメソウ　の群生が見られるようになる。



そうそう、ハナネコノメソウ　といえばアンテナのように伸びた赤い雄しべが可愛いよね。　



他にも　ネコノメソウ　や　ユリワサビ（写真上）　などの花も咲いていた。



ハナネコノメソウは、山地の渓流沿いの岩場や湿り気のある場所に生える多年草らしいが、こんな石ころだらけの落ち葉に埋もれた小沢でも咲くんだね。



WOW！　こんなところにハンバーガーのタワーがある！　　



下流に進むと　ハナネコノメソウ　は見られなくなり、やがて左岸のフィックスロープが張られたい岩場を降る。



すると、今度は炭焼き窯の跡？と思われる穴の近くに　“かたくり群生地”　と書かれた標識が立っていた。　



この周辺には　カタクリ　の花が何株が咲いていたが、群生地と言うほどの数ではない。
それでも、小さな春を感じるには十分な花園である。



やがて、林道に出て、民家の脇を流れる小俣川の支流に沿って歩き、カーシャトルの車をデポしてある　岩切登山口　に着いた。


赤雪山から三角山までの縦走路は、見事なマツの枝ぶりと、その樹間から見える山々が綺麗だった。
また、その山稜では スミレ や ダンコウバイ、沢筋の路では ハナネコノメソウ に カタクリ、里には ロウバイ や フキノトウ など小さな春がたくさん見られた。
降雪後とは思えないほどのポカポカ陽気で、風も穏やかで、まさに陽だまりハイクの一日だった。


本ルートのマップ は下記のヤマレコのリンクをクリックしてね　(^_-)-☆　

私のこのトレイルへの評価：　3★ 初級者向け
距離：約9.5km　　　標高差：約450m（累計標高差：＋780m/-850m）
所要時間：休憩込で約7時間 （赤雪山P 8:40‐赤雪山 9:50/10:10‐三角山 12:00‐仙人ヶ岳 12:50/13:15‐熊の分岐 13:40‐生不動 14:10‐岩切登山口 15:30）



おまけ 【名草の巨石群】　

赤雪山の東の登山口側にある　名草の巨石群　は、名草厳島神社境内の深い木立に囲まれた谷間に所在する巨石群である。
それは、花崗岩質特有の玉ねぎ状風化と呼ばれる直方体の巨岩や巨石が形成されやすい風化作用により形成されたものらしい。
その風化現象を示す資料的価値、学術的価値が高く貴重であることから、1939年（昭和14年）には国の天然記念物に指定されている。



なぜこんな人里離れた山奥に、このような巨石群が存在するのか？　風化でこんな形に石が残るものなのか？
まるで宇宙人がどこからか巨石を運んできたのではないかと思えるような不思議な場所である。
淋しいくらいの静寂の森の中で苔むした巨石群の前にたたずめば、誰もが地球のミステリーを肌で感じることだろう。



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