西上州（南牧村） アカヤシオ咲く大津から三ツ岩岳へ Mount Ōtsu & Mitsuiwadake in Nanmoku, Gunma

Monday, April 10, 2023

岩峰が多いことで知られる群馬県西部の山間地は　西上州　と称されているが、春にはたくさんのツツジが咲いて岩峰とのコントラストが美しい。
中でも他のツツジに先駆けて咲く　アカヤシオ（ひとつばな　とも言う）　で有名な　三ツ岩岳　という山がある。

そして、その三ツ岩岳から南西に位置する岩峰が　大津　だ。
大津なんて山らしくない名前だが、針峰のかたまりのような山で、中央峰を筆頭に北西峰、北峰、東峰とある。

アカヤシオ咲くこの時期に大津から三ツ岩岳へ縦走することは、はまさにツツジ街道を爆走するような素晴らしいルートである。
ただし、この間は急峻な岩稜帯なので要ロープである。


このルートは、一般登山道では無い部分が含まれますので、入山に際しては未整備のルート歩きの経験とスキルが必要であることに留意してください。



＜アクセス：自動車の場合＞

国道254号線（上信越自動車道下仁田IC下車）で下仁田町に向かい、県道45号線に合流し南牧村に入る。
道の駅なんもく　を過ぎ左に上野村へ通じる湯の沢トンネルへの道を分ける。

県道は93号線に変わり南牧村の中心地へと進む。ＪＡや役場のある三叉路（郵便局がある）を左へ曲がれば大仁田集落まで1本路だ。
集落から大仁田川に沿った林道を走れば立派な大仁田ダム基部に着く。

路肩駐車も含め30台は停められるパーキングはウィークデイだというのに満車状態だ。
恐るべしアカヤシオの山、三ツ岩岳！が、しか～し、我々が向かう大津へはハイカーは誰もいない。



三ツ岩岳登山口のトイレ横の木段から大仁田ダムに上がり、ダムサイトを新緑と野花を愛でながらルンルン気分で歩く。



ダム周辺でも アカヤシオ と思われるピンクの花が山肌を彩っている。



“えぼし橋” を渡り車道の終点から大仁田川へと入って行く。



大仁田川沿いに佐久へ通じていた “大仁田越” の古道がある。



大仁田川の荒れたトレイルを進むことしばしで、左岸（川下に向かって左側）に涸れ沢が合流する。
文字が消えかけた赤ペンキの岩や赤テープもあり、ここが大津の稜線に登る支尾根取付きの “大津入口” のようだ。



余談だが、私は2016年にも大津から三岩岳を縦走しているが、
その時は、渓流沿いのこの古道を上流に遡り、 中洲あたりから “鷲頭ルート” と呼ばれる標高差の少ないルートをたどった。

渓流沿いの古道は、小鳥が多く、まるでダンスでもしているかのような小鳥の舞を見ながら歩ける素敵なトレイルだ。
渓流沿いということで花も多く、春には　ハシリドコロ、ネコノメソウ、トウゴクサバノオ、ニリンソウ、ヒトリシズカ、クワガタソウ、キケマン、そしてスミレ各種がみられる。

私的には、この “大仁田越” の古道を歩く方がお勧めなので、若干、遠回りになるが時間と体力があるなら、ぜひ渓流歩きも楽しんでもらいたい。



一方、“大津入口” からスギ林の支尾根につり着くショットカットルートは、最初から踏み跡の薄い急登で、スギ林をぬけても歩きづらいザレ斜面が続く。



四つ足で踏ん張って登って行くと、目の前にパープルの花を満開に咲かせた　ミツバツツジ　が現れた。
一気に晴れやかな気分になり、早くも撮影会が始まる。



そして、程なく大津の稜線に達し、そこからは、もう花園ロードとなる。　
アカヤシオ　もちょうど最盛期で、ミツバツツジとのコラボレーションもあちらこちらで見られる。



花園に感激していると、あっという間に　大津（中央峰）　に着いた。　やはり尾根ルートは近いね。
ピークがはっきりしない縦走路のコブみたいな中央峰であるが、大津の4つのピークの最高峰（1053m）である。



ひと休みした後は、 　 中央峰から見える北西峰に、前回（2016年）は登らなかったので、今回は登っておこう。



北西峰だけ、稜線から離れたいるので中央峰からピストンになる。（往復30分）　
北西峰は鋭く、基部から簡単な岩登りとなる。



大津（北西峰）　から北西方向に展望が広がっている。



東側にはこれから行く、大津の北峰、東峰が　アカヤシオ　に彩られている。



北西峰の下降は、クライムダウンできるが、ロープ持参なのでラペルが早い。



中央峰に戻り、主稜線を東に進みワイヤーが張られた小ピークを越えれば北峰である。



大津（北峰） は、狭い針峰であるが、その展望は素晴らしい。　登ってきた北西峰に左手が届きそうな近さにそびえている。



右手（北側）には、これから向かう　三ツ岩岳　が、意外にも緩やかな山容に見える。



おっと、その前に　東峰　の岩峰を越えなければ・・東峰の東面は絶壁だ。 　



北峰から東峰へは、空中に太いワイヤーが張られたナイフエッジのようなヤセ尾根を歩く。
そうそう、大津と言えばこの太いワイヤーだよね～　登山道の為ではなく、きっと昔の山仕事の残物だろう。



東峰の岩壁基部は左のルンゼ（フィックスロープあり）を登る。



ルンゼを登りきると、右手に東面の景色が広がり尾根にでる。　振り返り北峰、北西峰、中央峰を見る。



大津（東峰） が、大津の端っこの岩峰で、ここから三ツ岩岳に向かって大きく下降する。



スカイラインには西上州のトンガリ山の山並みが一望でき、自分が登ったことがある山は、遠望でも確認できる。　
左から　ローソク岩、　荒船山（経塚山）、　立岩、　毛無山、　トヤ山　など、西上州の山オンパレードだ。



右の眼下には　大仁田ダム　が見える。　



さて、東峰で展望を楽しんだ後は、本コースの核心部である三ツ岩岳への縦走に取りかかろう。
北側のギャップは、切れ落ちていてクライミングダウンするにはちょっと怖いので、迷わずラペルする。



ラペルで降り立った先も、急なヤセ尾根が続くので気を抜かず慎重にクライムダウンしよう。　三ツ岩岳はまだまだ先に大きく立ちはだかっている。GO! GO! 　



岩場からの急な斜面もやがて緩やかな尾根に変わり、三ツ岩岳の一般ルートである “南西コル分岐” に着く。　　 ここまで来れば一安心。



南西コルは直進して北の尾根を登る。　西側の斜面は、新緑の並木道状態だ。 　



まさに芽吹きの春。　ライトグリーンになる前の生命感あふれるカラーが素敵だ。 　　



すぐに岩場となりフィックスロープのセットされたトレイルを四つ足で登る。



そこは、まさにツツジの花園。



西側を見れば、スカイラインの山並みと、バックのハンギング・ロックとも思える岩壁がアカヤシオに彩られて圧巻である。



ミツバツツジ　と　ヒカゲツツジ　のコラボレーションもいいね。　・・にしても、このミツバツツジの花付きが凄い！ 　　



鮮やかな他のツツジに混じって、クリーム色の　ヒカゲツツジ　は存在感が薄いが、単体でみれば実に美しい花だ。 　



また、急登が終わった第2コルから先が、アカヤシオ　全開で圧倒される。　 　



これ、トリックアートではないよ。　 見上がれば木が横にのびていた。　　



やがて、右から竜王大権現からのトレイルが合流すると・・



北東方面が開けて、西上州の入門ルートである　四ツ又山・鹿岳　や　上毛三山（妙義山・榛名山・赤城山）も一望できる。



トレイルの両サイドもピンク色に染まり、まさにフラワーロードになっている。



この花園に同行者が紛れ込んでいるが、どんな美人もこの花園の中に入れば、ただのゴミ？ 　



まるでサクラの花のようだ。 今年（2023年）は　アカヤシオ　の当たり年だったのかな？　



よそ見ばかりして、やっとたどり着いた　三ツ岩岳（1032m）　山頂！ 　



おや、北側に何やら置かれたピークが見える。 確認しに行ってみようじゃないか！ GO! GO! 　



かなりの急坂を降って、フィックスロープの張られた2段岩壁を登る。



置かれていたのは首無し地蔵だった。



我々4人と首無し地蔵。　そして、バックには雄大な西上州の山稜。　Amazing!　



首無し地蔵の北側をのぞき込んでみたら・・Wow！この先は下降不可能なキレットだ。 　



西側には先ほど登った大津の4つのピークが見える。



振り返れば、ピンク色の三ツ岩岳



さて、三岩岳に登り返して下山に取りかかろう。　竜王大権現経由で一般トレイルを降るが、まだまだアカヤシオロードが続く。♪



南東尾根に進み、岩場を巻きながら標高を下げていく。　最後の展望台でピンクの峰の見納め。　この山の人気の理由がわかるね。



南東尾根の岩壁を右から巻いて、竜王大権現が置かれた岩壁基部を右に行く。



その後、急な樹林帯を一気に降る。　滑り易い砂地なのでフィックスロープがありがたい。



やがて右に、沢に沿って南西コルに続くトレイル “沢コース分岐” を分ける。
樹間には　烏帽子岩　が　“お疲れ様でした”　と姿をみせてくれた。　あちらも　アカヤシオ　で人気の山だ。　



沢コース分岐から堤防がいくつも設置された沢沿いのトレイルを5分も降ればダムサイトに着く。
沢筋には　コガネネコノメソウ　の群落などもあり、最後まで楽しませてくれる。　やっぱり春っていいな～ 　



ラブリーな大仁田川沿いの古道から始まり、針の山のような大津の岩峰群と、ミツバツツジ、アカヤシオが咲き誇る三ツ岩岳の両者を繋ぐ豪快な縦走ができた。　

三ツ岩岳の訪問者数は1年中で4月だけが群を抜いて多い。
それは逆を返せばアカヤシオ以外の季節は価値が無いともいえるのか？　
いえいえ、 　　展望も抜群で西上州の山々、上毛三山は元より、浅間山や上州武尊山なども見渡せるので、空気の澄んだ紅葉シーズンもお勧めだ。　


本ルートのマップ は下記のヤマレコのリンクをクリックしてね　(^_-)-☆　

私のこのトレイルへの評価：　5★（春限定）上級者向け
距離：約5km　　　標高差：約400m（累計標高差：約700m）
所要時間：休憩込で約6.5時間 （大仁田ダム 8:00‐大津中央峰 9:40/10:00‐大津西北峰‐大津北峰 11:00‐大津東峰‐南西コル 12:15‐三ツ岩岳 13:00‐首無し地蔵‐竜王大権現‐大仁田ダム 14:30）


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