西上州（下仁田町） アカヤシオに彩られる じじ岩・ばば岩 Jiji＆Baba Rocks in Shimonita, Gunma

Tuesday, April 15, 2025

陽ざしが暖かく感じられ、生命感にあふれる春が私は大好きだ。　　

長野県と群馬県の県境にある内山峠（国道254号線）から標高を下げて群馬県下仁田町に入ると、
目覚めたばかりの新緑とヤマザクラの淡いピンク色が山肌を覆っていた。

そんなパステルカラーの山稜にはニョキニョキと飛び出た岩峰がいくつもある。　これこそが The 西上州！である。　　
そして、一際目立つ岩塔が　じじ岩・ばば岩　と呼ばれ　御堂山　へのハイキングトレイルの途中に立つ2つの奇岩である。



＜アクセス：自動車の場合＞

国道254線で群馬県下仁田町から内山峠方面に走り、県道43（下仁田軽井沢線）が右に分かれる。
この分岐の左側に案内板があり5台くらい駐車可能だ。　ここは下仁田バスの “藤井入口” バス停でもある。


＜アクセス：公共交通の場合＞

電車利用の場合は日本一高いと言われる上信電鉄で終点の下仁田駅で降りて、
下仁田バス、市野萱線　に乗り “藤井入口” または、ひとつ手前の “坂詰” で下車するのが良いだろう。

登山口の目印である、西牧関所（藤井関所）跡は “藤井入口” と “坂詰” のバス停の中間くらいにある。
ただし、バスの便が少ないので事前に時間を調べておこう。
タクシーを利用するなら駅から西牧関所跡まで約20分。



御堂山登山口は、国道254号線沿いにある　西牧関所（藤井関所）跡　の右脇の道に入って行く。

国道254号線を走っていると “姫街道” という標識を見ることがあるが、
関所跡の案内板によれば、中山道の裏街道として女性も容易に通れたので姫街道とも言われたらしい。



西牧関所跡から　御堂山登山口　までは100m程で、入口には御堂山の案内版の他にヤマビルの注意警告版がある。
そうだ、このエリアはヒル公害？が問題になっている妙義山系に近く、
このエリアもヒルの活動時期である5月～10月はヒル地獄になるので入山は避けた方が無難である。



スギの植林がさられた薄暗い林道に入っていくと　マムシグサ　があちらこちらで見られる。
形状に変異が多い多年草であるが、この株は褐色と白のストライプが美しい。



しばらくは林道歩きとなり、小川（鏑川の支流）に沿って北に進む。　



やがて左右に岩壁が現れるようになる。



つまらない林道歩きでは、小さな春を探しながらキョロキョロ・・と、今年も会えた　エイザンスミレ。



林道が二俣に分かれて、右へ進むと徐々に道幅も狭くなってくる。



登山口から1時間弱、林道終点からは路は荒れ、石がごろごろした沢状になる。



このあたりから新緑ゾーンが始まる。




フレッシュなグリーンの葉が春の訪れを感じさせる。　太陽に照らされてピカピカだ。　



しばらく沢沿いに進み、二俣を左へ行くと　みの滝（約5m）　が現れる。
この滝はフィックスロープを使って右壁を登る。　適度にスタンスもあるので問題なく登れる。



みの滝を越えてからは尾根上のコル（じじばば分岐）を目指して雑木林の中を登る。
左手（西側）には、早くもじじ岩・ばば岩の岩塔が見えてくる。



冬ごもりで鈍った身体には登高がきつい。心臓に負加をかけない様にゆっくり、呼吸を意識して登る。
やっと、 じじ岩ばば岩のコル（じじばば分岐）に到着。登山口から約1時間30分。



じじ岩・ばば岩を見るにはコルから南西方向のヤセ尾根を往復する。
ヤセ尾根に進むと、いきなりピンクの　アカヤシオ　が青空に舞っていた。　予想していなかっただけに嬉しい誤算だ。　



ミツバツツジ　もコラボレーション！ 　　



ヤセ尾根の先の岩塔で行き止まる。　踏む跡をたどり、この岩塔の基部を右側から巻くように下降していく。



ザレた悪い斜面には進入禁止のテープが施されているので、慎重にルートファインディングして進む。
南西方向にトラバースし過ぎてしまうと巻き返しが悪いので、あくまで目の前の岩壁の基部に沿うように登る。　　



岩壁の基部から右の岩場（タンス岩：じいとばあ展望地）に登れば・・きたー！　“じいとばあ”　の愛称で呼ばれている　じじ岩・ばば岩　が眼前に迫る。　 　
どちらがじじ岩・ばば岩なのかは諸説あるようだが、ここでは　下仁田町のHPの解説　に従って右がばば岩で、左がじじ岩としておこう。

なお、展望台のタンス岩はもとより、じじ岩・ばば岩の岩塔周辺は極めて足場の悪いヤセ尾根なのでくれぐれも慎重に行動されたし。　



じじ岩・ばば岩の左に立つ岩峰群は　こたつ岩　という名がついているらしい。
こたつ岩の岩壁には大きなバケツ（穴のような岩の窪み）がたくさんある。



バックの尾根にも、ニョキニョキと奇岩が顔を出している。　これこそが西上州の魅力だね。



見事な1本岩でね。　まさにタワーだ！　
2003年にアメリカのオレゴン州にあるスミスロックという岩場に数週間滞在したことがあるが、その際に見た　モンキー・フェイス　の岩塔を思い出す。　
そうだ、この岩塔を西上州の モンキー・フェイス 命名しよう！　　　しかし、この脆いタワーのてっぺんに登るのは命がけだろうな～　



ばば岩のバックには　四ツ又山・鹿岳　などの西上州の山々が展開している。



ばば岩へは、タンス岩の基部からヤセ尾根伝いに接近することが出来る。　
基部から見上げる ばば岩には右にもたれかかるピナクルがある。　



タンス岩の展望地からは254号線沿いの集落が見渡せる。　



さて、じじ岩・ばば岩の景観を堪能したら、対岸の尾根からじじ岩・ばば岩の展望が見られる　じいとばあ裏展望所　に行こう。
じじ岩ババ岩のコルまで戻り、アカヤシオが咲く、明るい尾根を北東に登って行く。　



アカヤシオ　と競うように　ミツバツツジ　も見事に咲いている。　



対岸の尾根にもコケシみたいなユニークな岩塔が見える。



WOW！　キノコの幹、いや、幹にびっしりと生えたキノコ！　　



ここが対岸の尾根に行く鋭角の分岐だが、踏み跡が細くて、小さな標識は見落とし易いので要注意！　



WOW!　ツタがタコ足配線状態になってる！　　



この岩塔周辺が通称　じいとばあ裏展望所　とされているようだ。



先程まで居た場所の全景が見渡せる。　バックには県境に立つ　荒船山　のテーブルマウンテンが横たわっている。



ピナクルの先まで少し歩いてみると、目が覚めるようなピンクの　アカヤシオロードが続いていた。　　　




さらに、帝釈岩方面に進みマツの木の岩壁の上に立つと、下仁田町の市街地方面が新緑の尾根の向こうに広がっていた。



マツの木の樹間から見る　ばば岩・じじ岩・こたつ岩（左から）　の岩峰群。　Amazing! 　 　



感動的な景色を見たのでこのまま下山しようとも思ったのだが、ここまで来たら御堂山のピークハントもしておこう。

じいとばあ裏展望所からスギ林を登って　高石峠分岐（御堂山分岐）　まで約20分。　
さらにフィックスロープの張られたザレた尾根を登ること約10分足らずで　御堂山　に着く。



御堂山（標高878.5ｍ）ピークには三等三角点がある。

残念ながら御堂山の北側に位置する表妙義の展望はあまり良くない。
なので下山は、妙義山の展望を期待して高石峠分岐から西に進み高石峠を経由して根小屋の集落に下山するトレイルを歩くことにする。



ただし、こちらのトレイルは不明瞭なところもあるのでルートファインディングに注意が必要だ。　
下仁田町の公式サイトでは「登山道が不明瞭で道迷いが発生していることから、初心者の通行はお薦めできません。」とある。　



高石峠分岐から展望のない樹林帯をしばらく行くと、割れた大木のコル（下宿分岐？）に着く。
新緑とバックに妙義山の山容が見えてくる。



さらに進んで、その先の岩稜の小ピーク（妙義山展望岩稜）に立てば・・・



きたー！　岩々した　妙義山　の岩峰群が圧巻だ　 　



ここでも　アカヤシオ　が満開



バックには雪をまとった　浅間山　が美しい。



2つの岩峰を南側から巻いて、進行方向に三角ピーク（823mピーク）が見えてくる。　



高石峠　は823mピークの手前のコルで、下山路はコルから南側の高石沢に沿ったトレイルを降る。



しかし、聞いていた通り、高石峠からの下降は作業道が交差していて迷いやすい。



いったん道幅の広い作業道に出て、伐採地の下を通過する。



そのまま作業道通しには行けなくて、土砂崩れで寸断されたあたりから高石沢右岸の台地を地形図を読みながらルートファインデングする。



悪路の尾根を軌道修正しながら迷走し、なんとか里に降りてきた。　
最後は赤石沢の水道設備に出るのだから、基本的には赤石沢から大きく離れなければ良いだろう。　



あとは春爛漫の根小屋集落をテクテクと歩いて本宿まで。



姫街道の宿場の面影を残す　本宿　を通って “藤井入口” バス停であるパーキングまで戻る。
集落の北側にはいくつも岩峰、岩壁がそそりたっていて、西上州の険しい地形を実感する。


日本離れした光景が見られる　じじ岩・ばば岩　のロケーションであるが、
そこに至るトレイルは、西上州特有の険しい岩稜歩きが伴うので中級ハイカー以上におすすする。

特に高石峠分岐（御堂山分岐）から高石峠方面のトレイルは読図の出来る上級者以上でないと道迷いの危険性があるんで注意されたし。 　
樹林帯の中のトレイルで景色もあまり良くないので　じじ岩・ばば岩　の展望地までのピストンが良いだろう。 　


本ルートのマップ は下記のヤマレコのリンクをクリックしてね　(^_-)-☆　

私のこのトレイルへの評価：　3★ 中級～上級者向け
距離：約9.5km　　　標高差：約750m
所要時間：休憩込で約5.5時間
（藤井入口バス停 11:00‐御堂山登山口‐じいとばあ展望地 12:30/13:00‐じいとばあ裏展望所 13:30‐御堂山 14:10/14:20‐妙義山展望岩稜 14:50‐高石峠 15:10‐本宿 16:20‐藤井入口バス停 16:40）


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